美容室をリピートしない理由|サロンのリピート率を上げるための改善策

経営・店舗運営ノウハウ
美容室をリピートしない理由|サロンのリピート率を上げるための改善策

美容院の経営を安定させる上で、新規顧客の獲得と並行して既存顧客の維持は極めて重要な課題です。

多くのサロンがリピート率を上げるための施策に頭を悩ませていますが、効果的な対策を講じるには、まず顧客がなぜ再来店しないのか、その根本的な理由を深く理解する必要があります。

顧客がリピートしない背景には、技術的な不満から接客、店内の雰囲気、料金設定、さらには明確な不満はないものの再来店する決め手に欠ける「なんとなく」という理由まで、様々な要因が複雑に絡み合っています。

本記事では、顧客がリピートしない理由を多角的に分析し、具体的な改善策を解説します。

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まずは自店の現状をチェック!リピート率の計算方法

具体的な改善策に取り組む前に、まずは自店の現状を客観的な数値で把握することが第一歩です。
そこで重要になるのがリピート率の算出です。

リピート率は、特定の期間内において、来店した全顧客のうち2回目以降の来店だった顧客がどれくらいの割合を占めるかを示す指標です。

基本的な計算式は「期間内のリピート客数÷期間内の総客数×100」で求めることができます。

例えば、ある月の総客数が200人で、そのうちリピート客数が150人だった場合、リピート率は75%となります。

この数値を定期的に計測することで、施策の効果を測定したり、課題を早期に発見したりするのに役立ちます。

美容室の平均リピート率は?目標設定の参考にしよう

自店のリピート率を算出したら、次はその数値が業界水準と比較してどのような位置にあるのかを確認することが目標設定の参考になります。

一般的に、美容室の新規顧客のリピート率は、3ヶ月以内の再来店で30〜40%程度が平均とされています。
一方で、既存顧客(2回目以降の来店客)のリピート率は70〜80%と比較的高くなる傾向があります。

ただし、これらの数値はあくまで目安であり、店舗の立地やターゲット層、コンセプトによっても変動します。

まずは新規顧客のリピート率50%、既存顧客のリピート率90%などを具体的な目標として設定し、その達成に向けて取り組むと良いでしょう。

現状の数値を把握し、業界平均を参考にしながら自店の目指すべきゴールを明確にすることが重要です。

お客様が再来店しない5つの大きな理由

顧客が美容室を一度きりの利用で終えてしまう背景には、様々な理由が存在します。

それらの理由は、大きく分けると「技術」「接客」「空間」「料金」そして「明確な理由がない」という5つのカテゴリーに分類することが可能です。

仕上がりがイメージと違ったという技術的な不満や、スタッフとのコミュニケーションがうまくいかなかったという接客面での問題は、失客の直接的な原因となり得ます。

ここでは、顧客が再来店しないこれらの大きな理由を一つずつ掘り下げていきます。

【理由1】ヘアスタイルの仕上がりに満足できなかった

顧客が美容室をリピートしない最も直接的な理由は、ヘアスタイルの仕上がりが期待通りではなかったという技術面での不満です。

カウンセリングで伝えたイメージと実際の仕上がりに乖離があった、カットの収まりが悪く自宅でスタイリングしにくい、パーマやカラーによる髪のダメージが大きかった、といったケースがこれにあたります。

顧客は施術に対して料金を支払っているため、その対価として満足のいく仕上がりを期待するのは当然です。

この期待を下回ってしまった場合、たとえ接客や店の雰囲気が良くても、再来店につながる可能性は著しく低くなります。

技術への不満は、サロンの根幹を揺るがす深刻な問題といえるでしょう。

【理由2】スタッフとの会話や接客態度に不満を感じた

施術の仕上がりに満足していても、美容師とのコミュニケーションや接客態度が原因で足が遠のいてしまう顧客は少なくありません。

例えば、プライベートな話題に踏み込みすぎる、他の客やスタッフの悪口を言う、馴れ馴れしい言葉遣いをする、といった過剰なコミュニケーションは顧客に不快感を与えます。
逆に、必要最低限の会話しかなく、終始気まずい雰囲気だったというケースも同様です。

また、アシスタントの態度が悪かったり、スタッフ間の私語が多かったりすることも、店の印象を大きく損ねる要因となります。

顧客は施術を受けるだけでなく、サロンで過ごす時間そのものを楽しみにしているため、心地よい距離感を保った接客が求められます。

【理由3】店内の雰囲気や待ち時間が居心地悪かった

サロンで過ごす時間の快適さも、リピートを決定づける重要な要素です。

店内の清掃が行き届いておらず不潔な印象を受けた、BGMの音量が大きすぎる、インテリアや雑誌の趣味が合わないなど、空間に対する不満は居心地の悪さに直結します。

特に、予約時間通りに来店したにもかかわらず、長時間待たされることは顧客にとって大きなストレスとなります。

待ち時間に対する丁寧な説明や気遣いがない場合、顧客は「自分は大切にされていない」と感じてしまうかもしれません。

サロンは単に髪を切る場所ではなく、日常から離れてリラックスする空間でもあるため、顧客が心からくつろげる環境を提供できているかを見直す必要があります。

【理由4】施術内容に見合う料金だと思えなかった

顧客が支払う料金と、提供される技術やサービスの価値が見合っていないと感じた場合も、リピートにはつながりません。

これは単に「料金が高い」ということだけを意味するわけではありません。

たとえ絶対的な金額は低くても、仕上がりが悪かったり、接客が不十分だったりすれば、顧客は「この内容でこの値段は高い」と感じてしまいます。

逆に、高価格帯のサロンであっても、それに見合うだけの高い技術力、上質な薬剤、特別な空間、心遣いの行き届いた接客が提供されれば、顧客は価格に納得し、満足感を得ることができます。

価格設定の根拠を明確にし、その価値を顧客が実感できるようなサービス提供ができているかが問われます。

【理由5】「なんとなく」が最多!リピートする決め手に欠けた

実は失客理由の中で最も多いのが「特に不満はなかったが、なんとなく再来店しなかった」というケースです。

これは技術や接客に大きな問題はなかったものの、顧客の心に残るような強い印象や感動がなく「絶対にまたこの店に来たい」と思わせる決定的な魅力に欠けていたことを示しています。

他の美容室でも代替可能だと判断されれば、より自宅から近い、あるいはクーポンでお得な別の店に流れてしまう可能性が高くなります。

リピートする理由がなければ、顧客は簡単に離れていってしまいます。

この「なんとなく」の離脱を防ぐためには、他店との差別化を図り、その顧客にとって「特別なサロン」となるための付加価値を提供し続けることが不可欠です。

お客様に「また来たい」と思わせるリピート率改善策

顧客がリピートしない理由を理解した上で、次に取り組むべきは具体的な改善策の実践です。

失客の原因が技術、接客、空間、料金など多岐にわたる以上、対策も一つの側面に限定するのではなく、総合的に見直していく必要があります。

カウンセリングの質を高めて顧客の理想を正確に引き出すことから、期待を超える技術の提供、心からリラックスできる空間づくり、そして来店後も続く関係性構築まで、顧客に「また来たい」と感じさせるための施策は数多く存在します。

ここでは、明日からでも実践可能なリピート率改善策を具体的に紹介します。

カウンセリングを徹底しお客様の理想を正確に把握する

仕上がりの満足度を高め、リピートにつなげるためには、施術前のカウンセリングが極めて重要です。

単に「今日はどうしますか?」と聞くだけでなく、顧客の髪の悩み、ライフスタイル、普段のスタイリング方法などを丁寧にヒアリングします。

その上で、ヘアカタログや画像などを活用して、仕上がりのイメージを具体的かつ視覚的に共有することが、認識のズレを防ぐ鍵となります。

また、髪質や骨格に基づいたプロとしての提案を交えることで、顧客の潜在的な要望を引き出し、信頼関係を深めることにもつながります。

時間をかけた丁寧なカウンセリングは、顧客に安心感を与え、「自分のことを真剣に考えてくれている」という満足感を生み出します。

技術力を磨き続け期待以上の仕上がりを提供する

美容室の根幹は、やはり技術力です。

顧客の期待に応えるのはもちろんのこと、その期待を少しでも上回る仕上がりを提供することが、感動を生みリピートにつながります。

そのためには、スタイリスト一人ひとりが継続的に技術を磨き続ける姿勢が不可欠です。

最新のトレンドを学ぶための講習会への参加や、定期的な店内での練習会などを通じて、サロン全体の技術レベルを常に高い水準に保つ努力が求められます。

特に、自宅での再現性が高く、時間が経ってもスタイルが崩れにくいカット技術や、髪へのダメージを最小限に抑えるカラー・パーマの知識は、顧客満足度に直結します。

安定した高い技術力こそが、他店との最大の差別化要因となります。

お客様がリラックスできる接客と会話を心がける

顧客に心地よい時間を過ごしてもらうためには、一人ひとりの個性やその日の気分に合わせた柔軟な接客が求められます。

会話を楽しみたい様子の顧客には積極的にコミュニケーションをとり、一方で雑誌を熱心に読んでいたり、静かに過ごしたい雰囲気だったりする場合には、あえて会話を控えるといった配慮が必要です。

顧客情報をカルテに記録し、前回の会話内容や好みを把握しておくことで、よりパーソナルな接客が可能になります。

また、言葉遣いや笑顔、所作といった基本的なマナーを徹底することは、全ての顧客に安心感を与える上で大前提となります。

技術を提供するだけでなく、顧客の心に寄り添う姿勢が、サロンへの信頼感を育みます。

清潔感のある居心地の良い空間を演出する

顧客がサロンで過ごす数時間を快適なものにするためには、空間づくりへの配慮が欠かせません。

まず基本となるのは、床に落ちている髪の毛や汚れた鏡、乱雑なワゴンなどがないよう、常に清潔な状態を保つことです。

その上で、季節感のあるディスプレイや心地よい香りのアロマ、リラックスできるBGMの選定など、五感を満たす工夫を凝らすことで、空間の付加価値はさらに高まります。

また、待ち時間に退屈しないよう、幅広いジャンルの雑誌を用意したり、Wi-Fi環境を整備したりすることも有効な施策です。

細部にまで気を配った居心地の良い空間は、それ自体が顧客にとって再来店したいと思わせる魅力の一つとなり得ます。

充実したアフターフォローで次回来店へつなげる

施術が終わって顧客が店を出た後も、関係性を維持するためのアフターフォローはリピート率向上に大きな影響を与えます。

退店時に、その日のスタイリングのポイントや、次回来店時期の目安、おすすめのヘアケア方法などを具体的にアドバイスすることで、顧客の満足度は高まります。

さらに、施術から数日後に、お礼とヘアスタイルの調子を伺うメッセージを送るのも効果的です。

こうした細やかな心遣いは、顧客に「大切にされている」という実感を与え、サロンへの信頼感を醸成します。

手厚いアフターフォローを通じて、単なる「美容室と客」という関係から、髪の悩みを相談できる「パートナー」へと関係性を深化させることが、長期的なファン化につながります。

再来店したくなるお得な特典やメニューを準備する

技術や接客で満足してもらうことに加え、再来店のきっかけとして有効なのが、リピーター向けの特典や限定メニューです。

例えば、退店時に次回予約をすると割引が適用される「次回予約特典」や、来店回数に応じて割引率が上がるポイントカード制度は、顧客の再来店を直接的に促進します。

また、「リピーター様限定のトリートメントメニュー」や誕生日月に利用できるクーポンなども、顧客に特別感を与え、再来店の動機付けになります。

ただし、過度な値引きは客単価の低下やブランドイメージの毀損につながる恐れもあるため、あくまで顧客への感謝を伝える付加価値として、バランスを考慮しながら導入することが重要です。

SNSやDMを活用してお店の情報を定期的に届ける

一度来店した顧客に店のことを忘れられないようにするためには、継続的な情報発信が不可欠です。

InstagramやLINE公式アカウントなどのSNSを活用し、最新のヘアスタイル写真やキャンペーン情報、スタッフの紹介などを定期的に発信することで、顧客との接点を保ち続けます。

これにより、顧客が「そろそろ美容室に行きたい」と考えたタイミングで、自店のことを思い出してもらいやすくなります。

さらに、顧客の来店周期に合わせて、そろそろカットやカラーの時期であることを知らせるDM(ダイレクトメッセージ)を送るなど、一人ひとりに合わせたアプローチも効果的です。

有益な情報を適切なタイミングで届けることが、再来店のきっかけを生み出します。

まとめ

顧客が美容室をリピートしない理由は、仕上がりの不満といった技術的な問題から、接客態度、店内の雰囲気、料金への納得感まで様々です。

特に、明確な不満はないものの再来店の決め手に欠ける「なんとなく」という理由で失客するケースが最も多いという事実は、他店との差別化と付加価値の提供がいかに重要かを示しています。

リピート率を向上させるためには、まず自店の現状を数値で正確に把握し、顧客が離れる原因を分析することが不可欠です。

その上で、カウンセリングの徹底、技術力の向上、心地よい接客と空間づくり、そして来店後も続くアフターフォローといった改善策を地道に実践し、顧客との長期的な信頼関係を築いていく必要があります。