CES(顧客努力指標)とは?NPSとの違いやスコアの計算方法を解説

カスタマーエフォートスコア(CES)とは? 測定方法や改善ポイントについて解説 顧客・従業員満足度(CS/ES)
カスタマーエフォートスコア(CES)とは? 測定方法や改善ポイントについて解説

CESとは、顧客が製品やサービスの利用、問題解決のためにどれだけの手間や労力を要したかを数値化する指標です。

「CustomerEffortScore」の略で、日本語では「顧客努力指標」と訳されます。
顧客ロイヤルティを測る指標としてNPSと並び注目されており、スコアの計算方法を理解し、顧客体験の改善に活かすことが重要です。

この記事では、CESの基本的な意味から、NPSとの違い、具体的な測定・計算方法、スコアの改善ポイントまでを解説します。

ファンくる

お店やサービスをもっと良くしたい!と思っているけど、何から手を付ければいいか分からない!と言ったお悩みをお持ちではありませんか?

ファンくる」では、ブランド選択理由や店舗毎特性など、お客様の体験を可視化できるようになりました。

特許を取得した独自解析によって、ブランド戦略や商圏戦略、業務改善をご支援します。
経営の意思決定や現場改善に繋がるデータ活用に課題を感じている方はお気軽にご相談ください。
>>ファンくるのサービス概要を見る

  1. CES(顧客努力指標)とは?顧客の手間を数値化する指標
  2. なぜ今CESが顧客ロイヤルティ向上の鍵となるのか
    1. 顧客の継続利用(リテンション)に直結するため
    2. 優れた顧客体験(CX)の提供につながるため
    3. サービスやサポートの具体的な問題点を発見できるため
  3. NPS®(顧客推奨度)との違いをわかりやすく解説
    1. 測定する目的の違い:顧客の努力量 vs 企業への推奨度
    2. 活用シーンの違い:個別の接点改善 vs ブランド全体の評価
  4. CESスコアの測定方法と計算手順
    1. CESを測定するための具体的なアンケート質問例
    2. アンケート結果からスコアを算出する計算式
  5. 要注意!CESスコアが高くなってしまう代表的な原因
    1. 問い合わせ窓口が見つけにくく分かりにくい
    2. 問題解決までに何度もやり取りが発生する
    3. Webサイトやアプリの操作が直感的ではない
  6. CESスコアを改善し顧客体験を向上させる5つのポイント
    1. FAQコンテンツを充実させて自己解決を促す
    2. 複数の問い合わせチャネルを用意し選択肢を増やす
    3. オペレーターの対応品質や解決能力を高める
    4. 顧客からのフィードバックをサービス改善に活かす仕組みを構築する
    5. シンプルで分かりやすいUI/UXにデザインを見直す
  7. CES(顧客努力指標)に関するよくある質問
    1. CESを測定するのに最適なタイミングはいつですか?
    2. CESのスコアが低い場合、何から手をつければ良いですか?
    3. CESとCS(顧客満足度)はどちらを優先すべきですか?
  8. まとめ

CES(顧客努力指標)とは?顧客の手間を数値化する指標

CES(セス)は「Customer Effort Score」の略称で、日本語では「顧客努力指標」の意味を持つ指標です。

この指標は、顧客が企業の製品を購入したり、サービスを利用したり、あるいはカスタマーサポートに問い合わせて問題を解決したりする際に、どれくらいの労力(手間、時間、ストレス)がかかったかを数値化して測定します。

スコアが低いほど、顧客は少ない努力で目的を達成できたことを示し、スムーズで優れた顧客体験を提供できていると評価できます。

逆にスコアが高い場合は、顧客に不要な負担を強いている可能性があり、プロセスの見直しや改善が必要となります。

なぜ今CESが顧客ロイヤルティ向上の鍵となるのか

製品やサービスの機能だけでは差別化が困難な現代市場において、顧客体験の向上が企業成長の鍵を握っています。

2024年、2025年と市場の競争が激化する中で、顧客にいかに「手間をかけさせないか」が重要視されています。
努力を必要としないスムーズな体験は、顧客のストレスを軽減し、ブランドへの信頼感を醸成します。

特にSaaS業界が盛んなLAの先進企業などでは、この「エフォートレスな体験」こそが顧客の継続利用を促し、長期的なロイヤルティを構築する上で不可欠な要素であるという認識が広がっています。

顧客の継続利用(リテンション)に直結するため

顧客がサービスを利用する際に感じる手間やストレスは、顧客離れ(チャーン)の直接的な原因となり得ます。

例えば、問題解決のために何度も電話をかけ直したり、複雑なウェブサイトの操作を強いられたりする体験は、顧客に強い不満を与えます。

CESを測定し、顧客の努力を最小限に抑える改善を続けることで、こうしたネガティブな体験を減らすことが可能です。

努力が少なければ少ないほど、顧客はそのサービスを「使いやすい」と感じ、継続して利用する可能性が高まります。

このように、CESは顧客の継続利用、すなわちリテンション率と強い相関関係があります。

優れた顧客体験(CX)の提供につながるため

顧客体験(CX)とは、顧客が製品やサービスに関わるすべての接点で感じる総合的な価値や満足度のことです。

CESの改善は、この顧客体験を向上させる上で極めて重要な要素となります。
顧客が「簡単だった」「スムーズだった」と感じる体験は、満足度を直接的に高めます。

特に、問題が発生した際のサポート対応が迅速かつ手間なく完了した場合、顧客のブランドに対する信頼はむしろ向上することさえあります。

CESに着目し、顧客の負担を軽減する取り組みは、ストレスフリーで質の高い顧客体験の提供に直結します。

サービスやサポートの具体的な問題点を発見できるため

CESは、顧客がどのプロセスで、どのような困難に直面しているかを具体的に特定するための診断ツールとして非常に有効です。

例えば、購入手続き後のCESスコアが悪い場合、決済方法や入力フォームに問題がある可能性が考えられます。

また、カスタマーサポートへの問い合わせ後のスコアが悪ければ、オペレーターの対応やFAQの分かりやすさに課題があるのかもしれません。

このように、特定の顧客接点(タッチポイント)における課題をピンポイントで可視化できるため、データに基づいた的確な改善策を立案し、実行に移すことが可能になります。

NPS®(顧客推奨度)との違いをわかりやすく解説

CESとNPS(ネット・プロモーター・スコア)は、どちらも顧客ロイヤルティを測定するための重要な指標ですが、その目的と活用シーンにおいて明確な違いがあります。

CESが特定の顧客接点における「手間」や「労力」というミクロな視点で顧客体験を評価するのに対し、NPSは企業やブランド全体に対する「推奨度」というマクロな視点で評価します。

両者の特性を正しく理解し、目的に応じて使い分ける、あるいは併用することが、顧客体験を多角的に把握し改善していく上で効果的です。

→NPS®とは?顧客満足度との違いやスコアの測定方法をわかりやすく解説

測定する目的の違い:顧客の努力量 vs 企業への推奨度

CESとNPS®の最も大きな違いは、測定する目的です。

CESの主な目的は、顧客が特定のアクションを完了するために要した努力の量を測定することにあります。
これにより、顧客プロセスの非効率な点や障害となっている箇所を特定し、改善することが可能になります。

一方、NPS®の目的は、「この企業を友人や同僚にどの程度すすめたいですか?」という質問を通じて、顧客の企業全体に対するロイヤルティや愛着度を測ることです。

CESがプロセスの効率性を問うのに対し、NPS®は感情的なつながりや総合的な満足度を評価します。

活用シーンの違い:個別の接点改善 vs ブランド全体の評価

測定する目的が異なるため、CESとNPSでは活用されるシーンも異なります。

CESは、特定の顧客接点における体験を評価するのに適しているため、カスタマーサポートの対応直後、商品の購入完了後、ウェブサイトでの会員登録後といった、個別のトランザクションが発生した直後に測定するのが効果的です。

これにより、その接点の具体的な問題点を迅速に把握し、改善サイクルを回すことができます。

対照的に、NPSはブランド全体の健康状態を測る指標として、四半期や半期に一度など、定期的に実施されることが一般的です。

これにより、長期的な視点で顧客ロイヤルティの推移を観測し、経営戦略に活かします。

CESスコアの測定方法と計算手順

CESスコアの測定は、特定の顧客接点(タッチポイント)でアンケートを実施するのが一般的です。

質問は、顧客の努力度合いを直接問う形式や、企業の対応が努力の軽減に貢献したかを問う形式が用いられます。

回答は多くの場合、「全くそう思わない」から「非常にそう思う」までを7段階のスケールで評価してもらう形式が採用されています。

このアンケート結果を集計し、簡単な計算を行うことでスコアを算出します。
重要なのは、適切なタイミングで、シンプルかつ分かりやすい質問をすることです。

CESを測定するための具体的なアンケート質問例

CESを測定するためのアンケートでは、顧客の努力を直接的に問う質問が効果的です。

現在主流となっているCES2.0では、以下のような肯定的な文章に対して、顧客がどの程度同意するかを尋ねる形式が推奨されています。

質問例:「〇〇社は、私の問題を簡単に解決できるようにしてくれました。」

この質問に対し、顧客は「1.全くそう思わない」から「7.非常にそう思う」までの7段階で回答します。

この聞き方によって、顧客は「手続きって面倒だったな」というネガティブな感情を直接表現するのではなく、企業の努力を評価する形で回答できるため、より建設的なフィードバックを得やすくなります。

アンケート結果からスコアを算出する計算式

CESスコアの算出にはいくつかの方法がありますが、最もシンプルで一般的なのは、得られた回答の平均値を求める方法です。

例えば、7段階評価でアンケートを実施した場合、以下の計算式でスコアを算出します。

計算式:CESスコア=回答数値の合計÷回答件数

仮に、36件の回答があり、その数値の合計が180だった場合、「180÷36=5.0」となり、CESスコアは5.0となります。

このスコアを定点観測することで、施策の効果測定やサービス品質の推移を把握できます。
また、肯定的な回答の割合から否定的な回答の割合を引いて算出する方法もあります。

要注意!CESスコアが高くなってしまう代表的な原因

CESスコアが高くなる、つまり顧客に多大な努力を強いてしまう状況には、いくつかの典型的な原因が存在します。

これらの原因は、顧客満足度を著しく低下させ、最終的には顧客離れにつながるリスクをはらんでいます。

自社のサービスやサポート体制に当てはまる点がないかを確認し、課題を特定することが改善の第一歩となります。

多くの場合、問題は情報へのアクセス性、プロセスの効率性、システムの操作性に集約されます。

問い合わせ窓口が見つけにくく分かりにくい

顧客が問題や疑問を抱いた際、すぐに解決策を見つけられるかどうかはCESに大きく影響します。

Webサイトのフッターの隅に小さくしか連絡先が書かれていなかったり、FAQページ内で目的の情報にたどり着けなかったりすると、顧客は問い合わせを始める前から不要なストレスを感じてしまいます。

電話番号、メールアドレス、チャットフォームなどの問い合わせ窓口は、誰にとっても分かりやすく、見つけやすい場所に配置することが不可欠です。

情報へのアクセス性が低いことは、顧客の努力を増大させる最初の障壁となります。

問題解決までに何度もやり取りが発生する

一度の問い合わせで問題が解決せず、何度も同じ説明を繰り返させられたり、複数の部署をたらい回しにされたりする体験は、顧客の労力を著しく増大させます。

こうした非効率な対応は、社内の情報連携が不足していることや、オペレーターの権限が限定的であることが原因で発生しがちです。

顧客からすれば、企業は一つのチームであるべきであり、部署が違うからという理由は通用しません。

初回解決率(FCR)を高め、スムーズな情報共有体制を構築することが、顧客の負担を軽減する上で極めて重要です。

Webサイトやアプリの操作が直感的ではない

WebサイトやアプリのUIが複雑で分かりにくい場合、顧客は目的を達成するために試行錯誤を強いられます。

例えば、ECサイトでの購入手続きが煩雑であったり、会員登録フォームの入力項目が過剰に多かったり、スマートフォンのアプリで目的の機能がどこにあるか分からなかったりするケースが該当します。

顧客が「どう操作すればよいか」を考えなければならない瞬間が多いほど、認知的な負荷、つまり努力が増加します。

直感的で迷うことのない操作性を提供することが、エフォートレスな体験の基本です。

CESスコアを改善し顧客体験を向上させる5つのポイント

CESスコアを改善することは、顧客の手間を減らし、優れた顧客体験(CX)を提供することに直結します。

改善のためには、顧客がどこで、なぜ努力を強いられているのかを特定し、具体的な対策を講じる必要があります。

セルフサービスの充実、問い合わせチャネルの多様化、オペレーターの能力向上、フィードバックの活用、そしてUI/UXの見直しという5つの観点からアプローチすることが、効果的なスコア改善につながります。

FAQコンテンツを充実させて自己解決を促す

顧客が問い合わせをする前に、自力で問題を解決できる環境を整えることは、CES改善の基本です。

よくある質問とその回答をまとめたFAQページを整備し、顧客が必要な情報に素早くたどり着けるように、検索機能を強化したり、カテゴリ分けを分かりやすくしたりすることが重要です。

また、テキストだけでなく、画像や動画を用いた解説コンテンツを用意することも理解を助けます。

チャットボットといったITツールを導入し、24時間365日、顧客の自己解決を支援する体制を構築するのも有効な手段です。

複数の問い合わせチャネルを用意し選択肢を増やす

顧客が問い合わせをしたいと考える状況やタイミング、内容の緊急度は様々です。

そのため、電話やメールといった従来のチャネルに加え、チャット、SNS、ビデオ通話など、複数の問い合わせチャネルを用意し、顧客が自身の都合に合わせて最適な手段を選択できるようにすることが重要です。

これにより、電話が苦手な顧客や、移動中にテキストで手早く質問したい顧客など、多様なニーズに応えることができます。

チャネルが増えても対応品質が落ちないよう、情報連携の仕組みを整えることも不可欠です。

オペレーターの対応品質や解決能力を高める

セルフサービス化が進んでも、最終的に複雑な問題を解決するのはオペレーターの役割です。
そのため、オペレーターのスキルアップはCES改善に欠かせません。

製品やサービスに関する深い知識はもちろん、顧客情報を即座に確認できるシステムの整備や、一定の裁量権を与えることで、迅速かつ的確な対応が可能になります。

定期的な研修を実施し、初回解決率(FCR)を指標としてモニタリングするなど、組織全体でオペレーターの対応品質と問題解決能力を高めていく取り組みが求められます。

顧客からのフィードバックをサービス改善に活かす仕組みを構築する

CESアンケートで得られたスコアやフリーコメントは、顧客からの貴重なフィードバックです。

これらの声を収集・分析し、具体的なサービス改善に繋げる仕組みを構築することが重要です。
例えば、「手続きが分かりにくい」という意見が多ければ、該当するWebページのデザインを見直す、といったアクションにつなげます。

フィードバックを関係部署(開発、マーケティング、営業など)と共有し、全社的な課題として改善に取り組むPDCAサイクルを回し続けることで、継続的に顧客体験を向上させることが可能です。

シンプルで分かりやすいUI/UXにデザインを見直す

Webサイトやアプリの操作性が悪いことは、顧客に直接的なストレスと手間をかけさせます。

CESスコアの改善には、顧客が直感的に操作できるUI/UXデザインへの見直しが不可欠です。

例えば、入力フォームの項目を最小限に絞る、ボタンの配置や名称を分かりやすくする、ナビゲーションメニューを整理して目的のページにたどり着きやすくするなど、改善点は多岐にわたります。

定期的にユーザーテストを実施し、顧客がどこでつまずいているかを客観的に把握した上で、デザインを改善していくことが効果的です。

CES(顧客努力指標)に関するよくある質問

ここでは、CES(顧客努力指標)に関して頻繁に寄せられる質問とその回答をまとめました。

CESを導入・運用する際に生じやすい疑問点を解消し、より効果的に活用するための一助としてください。

CESを測定するのに最適なタイミングはいつですか?

CESを測定する最適なタイミングは、顧客が特定の目的を持った行動(トランザクション)を完了した直後です。

例えば、カスタマーサポートでの問題解決後、商品の購入手続き完了後、Webサイトでの資料請求後といったイベント発生時が挙げられます。

その接点における体験の記憶が新しいうちにアンケートを実施することで、より正確で具体的なフィードバックを得ることが可能になります。

CESのスコアが低い場合、何から手をつければ良いですか?

スコアが低い(顧客の努力が大きい)原因を特定することから始めるべきです。

アンケートのフリーコメントを分析し、顧客がどのプロセスで手間を感じているのかを把握します。
可能であれば、対象の顧客に直接ヒアリングを行い、より詳細な状況を確認することも有効です。

課題が明確になったら、影響範囲が広く、比較的改善しやすい問題から優先的に着手するのが効果的です。

CESとCS(顧客満足度)はどちらを優先すべきですか?

両者は測定する側面が異なるため、どちらか一方を優先するのではなく、目的に応じて使い分けるか、併用することが望ましいです。

CESは「労力」という具体的な体験に焦点を当て、顧客離れの防止に直結します。
一方、CS(顧客満足度)は価格や品質を含めた総合的・感情的な満足度を測ります。

両方を測定することで、顧客体験をより多角的に理解し、的確な改善策を講じることができます。

まとめ

CES(顧客努力指標)は、顧客が製品やサービスの利用に要した手間や労力を数値化する指標です。

このスコアを測定・分析することで、顧客体験における具体的な問題点を発見し、改善につなげることができます。
顧客の努力を最小限に抑えることは、顧客離れを防ぎ、継続利用を促す上で非常に重要です。

NPS®(顧客推奨度)やCS(顧客満足度)といった他の指標と併用しながら、顧客の声に耳を傾け、サービスを継続的に改善していくことが、顧客ロイヤルティの向上に不可欠です。