顧客満足度(CS)調査や覆面調査(ミステリーショッパー)って何がどう違うの?と思っている方も多いと聞きます。
両方とも「調査」ってついてるし、商品やサービスを体験後にアンケートで聞くという点も似ていますからね。
実際自分もちゃんと理解するまで「言い方が違うだけで大した違いはないんでしょ」など思っていましたが、ちゃんと調べてみると思ったより違うものだし、何のために調査するのか?目的に沿ったものを選択しないと意味ないなと感じました。
そこでこの記事では、
- 具体的な違いは?
- どう使い分ければいいの?
- それぞれ注意点とか違うの?
など、顧客満足度調査と覆面調査について、それぞれのメリットデメリット、使い分けについて、実施の際の注意点について解説いたします。
顧客満足度(CS)調査とは?メリットとデメリット
顧客満足度とは、顧客が商品やサービスにどれだけ満足しているかを数値化したものとなります。
CS(Customer Satisfaction)と言うこともあり、飲食店やホテル、美容室などのサービス業から、Saas企業などで幅広く使われています。
メリット・いいところ
顧客満足度調査の主なメリットは3つ。
- 実際の顧客から直接意見を聞ける
- 商品やサービスを問わず実施しやすい
- 大量の意見を集めるので定量的に評価しやすい
満足度、サービス評価、改善要望やNPSの収集に向いており、お客様がいる商品やサービスであればモノを選ぶことなく調査できる点がメリットです。
デメリット・気になるところ
一方でデメリットもあります。
- ファンの意見が集まりやすく不満は集まり辛い
- 大量の回答を分析できる人材や環境が必要
- 全体評価は取りやすいが、細かいエラーや具体的な弱点は見つけづらい
顧客満足度調査はあくまで広く統計的なデータを扱う調査。
広くどこに満足しているか?不満があるかないか?を把握することはできますが、特定の細かいニーズや改善ポイントを見出すには向いていません。
より詳しくはこちらの記事にまとめていますので、もっと知りたいという方はご覧ください。
覆面調査(ミステリーショッパー)とは?メリットとデメリット
覆面調査(ミステリーショッパー)とは、派遣された調査員が商品やサービスを体験した結果をもとに、商品やサービスを評価する調査の方法です。
覆面調査の名の通り、調査を実施することを現場に告げずに実施するため、現場の本当の今の状態を把握できるのが最大の利点です。
現場からは
- 抜き打ちテスト
- 粗探しされる
- 経営層と現場に大きな溝ができる
など導入前には嫌がれるケースもありますが、実際に導入後は
- お客さんが気になっている箇所がよく分かった
- 良いところも評価してもらえる
- 経営層へ説明する裏付けになる
などポジティブな印象を持ってもらえることが多いようです。
今では飲食店や美容院など店舗を経営されている企業からメーカー企業まで幅広く活用されている調査となっています。
メリット・いいところ
覆面調査のメリットの主な、メリットは3つ。
- 調査員から顧客視点で意見を得ることができる
- 客観的な意見が集まりやすい
- 特定のポイントや細かい状況まで確認できる
客観的に顧客視点で細かい良くないところや良いところを確認でき、マネージャーの臨店回数を減らすことができるなど業務改善にも繋がります。
デメリット・気になるところ
一方で気になるところとしては、
- 商品やサービスを選び、調査が難しい商品やサービスもある
- 調査員による偏りが起きてしまうことがある
- 大量の意見を集めるにはそれだけコストが掛かる
ピンポイントでの意見の収集と改善には有益ですが、何百、何千と言う単位で広く統計的に情報を集めるには少し弱い調査方法だと言えるでしょう。
顧客満足度(CS)調査と覆面調査(ミステリーショッパー)は目的に合わせて使い分けが必要
顧客満足度(CS)調査と覆面調査(ミステリーショッパー)には、それぞれに向き不向きがあるのでバッティングする調査方法ではありません。
目的に合わせて使い分ける必要があります。
広くデータを集めて統計的に判断するなら顧客満足度(CS)調査
- 商品やサービスの全体的な評価や満足度調査
- FCなど多店舗展開しているお店などでの共通調査
- 常連顧客との忌憚のない意見交換の場としての活用
顧客満足度(CS)調査は広く統計的にデータを集めるのに向いています。
「30代男性の満足度は高いが、30代女性の満足度は低い」など、属性や商品、サービス毎に広くデータを集める際は、顧客満足度(CS)調査を行う場合におすすめです。
具体的な原因や現状把握をするなら覆面調査(ミステリーショッパー)
- 不満ポイントの具体的な原因の把握
- スタッフの働き具合や商品の現状など現場の状況把握
- 第三者の目から見た客観的な意見の収集
覆面調査(ミステリーショッパー)は特定の不満要因や具体的な現状把握に向いています。
「30代女性が具体的に不満だと思っているのは、入店時に立ったまま待たされること」など、何を改善することで顧客の不満を解消できるのか?
細かく具体的に情報を集めたい場合は覆面調査(ミステリーショッパー)をおすすめします。
顧客満足度(CS)調査→覆面調査(ミステリーショッパー)の順に実施すると顧客満足度向上に直結する原因を見つけられる
顧客満足度が高い商品やサービスに対して「不満を教えて下さい」と覆面調査を行っても、それこそ粗探しになってしまいます。
まずは全体的に顧客満足度(CS)調査で
- 不満を持っている層がどれくらいいるのか?
- 満足だと感じている層はどれくらいいるのか?
- どこ(商品?接客?清潔感?)に満足や不満を持っているのか?
を把握した後、覆面調査(ミステリーショッパー)で、
- 接客の満足度は高いが、接客のどこが良かったのか?
- 料理に不満があると回答されているが、料理の何が不満だったのか?
など、満足、不満のどちらにおいても具体的に洗い出すことが大切です。
広い範囲の意見から、具体的な要素を洗い出していくことでより具体的な取り組みを計画、実行することができ、効率的に顧客満足度を向上させることができます。
すでに別の調査や、普段の顧客とのやり取りなどから特定の層が不満を持っていることが分かっているなら、覆面調査(ミステリーショッパー)のみで良いでしょう。
顧客満足度(CS)調査を行う際の注意点
顧客満足度(CS)調査を行う際には注意すべき点があります。
- 聞く人は選ばず、すべての顧客にアンケートをお願いしよう
- 匿名性は大事だが、属性情報を集めるのを忘れずに
- 自分たちに都合よい意見ばかりを拾わないよう気を付けよう
それぞれ詳しく見ていきましょう。
聞く人は選ばず、すべての顧客にアンケートをお願いしよう
顧客満足度調査は広く多くの顧客に聞いてこそ価値のある調査です。
商品やサービスに合わせたターゲティング(女性客のみに聞きたいなど)は大切ですが、Aさんにはアンケート解答をお願いするがBさんにはしないなどの選別は行わず、ターゲットとしてマッチしている顧客には万遍なく聞くようにしましょう。
匿名性は大事だが、属性情報を集めるのを忘れずに
フルネームなどの個人を特定する情報は
- お客様が回答し辛い
- 個人情報管理の手間やリスクが増える
など、できるだけ取らずに調査を行うのが理想です。
一方調査である以上「世代」「性別」「職業」などの属性情報は、集めた回答から分析の精度を上げる上でも欲しい情報です。
個人を特定せず、回答者の回答時の不安を作らない程度に必要な情報は聞くようにしましょう。
自分たちに都合よい意見ばかりを拾わないよう気を付けよう
顧客満足度(CS)調査を行うと7割が満足と回答するなど、良い結果が集まることも多くあります。
しかし、その結果を見て喜んでは意味がありません。
満足している方たちには引き続き満足してもらいつつ、不満を持っている顧客の不満を解消することが大切です。
覆面調査(ミステリーショッパー)を行う際の注意点
覆面調査(ミステリーショッパー)を行う際にも注意すべき点があります。
- 調査前の仮説作りが大切です
- 調査がバレるような不自然な行動はさせない
- 客観的な意見ではあるが、すべてを鵜呑みにする必要はない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
調査前の仮説作りが大切です
調査はあくまで自分たちの考えと顧客の考えの「ズレ」を把握する手段。
自分たちの「仮説」がない状態だと「ズレ」を確認することができません。
- 商品の食感に不満があるようだが、本当に食感なのか?
- 入店時の接客はできていると思っているが、やれていないのか?やりすぎなのか?
など、顧客との「ズレ」を把握するためにも自分たちが認識している現状を整理し、仮説として持っておくことが大切です。
調査がバレるような不自然な行動はさせない
覆面調査は、いつ調査されるか分からないからこそ現場の本当の姿が見える調査です。
事前や調査中に「あ、あれ覆面調査だ」とバレてしまうのはできるだけ避けたいところ。
そのためにも事前に「今日、調査員来るから気を付けて」など共有しないのはもちろんのこと、普通のお客様が行わない行動、例えば
- スーパーで特定の商品について異常に詳しいし細かく質問してくるお客さんが急に増えた…
- 常連さんでも知らない裏メニューを今月は複数の一見さんが注文してくる…
など、現場のスタッフが疑いを持つような行動はさせないように気を付けましょう。
客観的な意見ではあるが、すべてを鵜呑みにする必要はない
覆面調査の結果は客観的な意見ではありますが、あくまで一つの意見でしかありません。
もらった意見を元に改善を行うことで
- 差別化に繋がっていた強みや個性が弱くなる
例:焼酎バーなのにビールも欲しいという意見を受けビールを出し始めた - 常連客に迷惑が掛かる
例:メニューの表記が変わり、自分が頼んでいたいつものメニューが分からなくなった
など、調査の目的とズレる意見が届いてしまった場合には、質問を変えるなどの検討が必要です。
顧客満足度(CS)調査と覆面調査(ミステリーショッパー)に共通する注意点
顧客満足度(CS)調査と覆面調査(ミステリーショッパー)、両方に共通する注意点もあります。
- アンケートはルールを守って回答・分析しやすく作ろう
- 分析と改善活動を行わない調査では意味がない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アンケートはルールを守って回答・分析しやすく作ろう
調査を実施して改善点を見つけるには、2回、難易度の高い山が待っています。
- 顧客がなかなか回答してくれない
- 集まったアンケートの集計・分析が大変
どちらも調査・改善を行う上では欠かせないポイントなので、できるだけハードルが下がるようにアンケートを作る必要があります。
しかし、ついつい一度の調査でできるだけ多く、細かく確認したくなるのが心情と言うもの。
聞きたいことを全部盛りにした結果、
- 200問を超える自由入力型のアンケートになり、全然答えてもらえない
- てにおはなど回答が微妙に異なり、一括で集計できず分析に時間が掛かる
などの失敗談はよく聞きます。
同じ失敗をしないためにもアンケート作りはルールを守って行いましょう。
分析と改善活動を行わない調査では意味がない
調査しっぱなしでは当然何も意味がありません。
集めた調査結果は必ず集計・分析を行い、その中でも効果の高いと思われるものから改善を行いましょう。
また、定期的(2~3ヵ月、できれば毎月など)に調査を行うことで、
- 取り組んでいる改善が本当に満足度に影響しているかどうか?
- 少しでも満足度が変わっているかどうか?
- 売上は上がったが満足度が下がったなどイレギュラーなことが起きていないか?
推移でみることができ、より精緻に分析、改善活動を続けることができます。
まずは無料のアンケートサービスを使って調査してみよう
顧客満足度調査、覆面調査ともに興味はあるけど、まだ効果があるかも分からないしあまり予算もないからまずは自分でやってみたい。
という方は、Googleフォームなどの無料サービスを使って調査してみてはいかがでしょう?
Googleフォームは無料で簡単に匿名アンケート調査ができる
アンケートを取るだけならGoogleフォームが簡単に使うことができておすすめです。
Googleフォームは大企業でも利用されているケースも多く、
- 集計やグラフ化まで自動で行ってくれる
- Googleアカウントがあれば誰でも使える
- 完全に無料で使える
と完全に無料で必要なアンケートの機能を持っているので、アンケートの設計や回収は自分たちでもできるという場合にはまず無料で始めてみることをおすすめします。
ノウハウや実施する余裕がない場合はファンくるにご相談ください
顧客満足度(CS)調査や覆面調査(ミステリーショッパー)をやってみたいと思っているけれど
- 良く分からないし周りに相談できる詳しい人もいない
- 忙しくてアンケートを作ったり分析している余裕がない
- 一度やってみたけど上手く行かなかった。他社のサービスも使いこなせなかった
と言ったお悩みをお持ちの方、ファンくるではお見積りやご相談は無料です。
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まとめ
顧客満足度(CS)調査と覆面調査(ミステリーショッパー)には得手不得手があります。
顧客満足度(CS)調査のメリットは
- 実際の顧客から直接意見を聞ける
- 商品やサービスを問わず実施しやすい
- 大量の意見を集めるので定量的に評価しやすい
一方で、どうしてもすでにお店を好きな人の意見が集まりやすかったり、大量のデータが集まるので分析が大変だったり、細かく具体的なポイントの情報が得にくいなどのデメリットもあります。
覆面調査(ミステリーショッパー)のメリットは
- 調査員から顧客視点で意見を得ることができる
- 客観的な意見が集まりやすい
- 特定のポイントや細かい状況まで確認できる
一方で、商品やサービスによっては実施が難しかったり、大量の意見を集めるにはコストが掛かったり、一人の調査員の意見に左右されてしまうことが起きるなどのデメリットもあります。
このように顧客満足度(CS)調査と覆面調査(ミステリーショッパー)では得意なこと、不得意なことが異なるので、調査したい目的や規模に合わせて使い分ける必要があります。
使い分けは、
- 広くデータを集めて統計的に判断したい:顧客満足度(CS)調査
- 具体的な原因や現状把握、改善ポイントを見つけたい:覆面調査(ミステリーショッパー)
と分けるのがおすすめです。
それぞれの特性を生かし、顧客満足度(CS)調査で広く意見を集めた後、覆面調査(ミステリーショッパー)で具体的なポイントを洗い出す。など順番に行うとより有効な調査を行うことができます。
また、それぞれ調査の実施時には注意点があります。
顧客満足度調査はこの3つに気を付けて下さい。
- 聞く人は選ばず、すべての顧客にアンケートをお願いしよう
- 匿名性は大事だが、属性情報(性別や年齢など個人を特定しないもの)は必ず集めよう
- 自分たちの耳にやさしい意見だけを見るのは止めよう
覆面調査はこの3つに気を付けて下さい。
- 調査前の仮説作りが大事です
- 調査がバレるような不自然な行動はさせない
- 客観的な意見ではあるが、すべてを鵜呑みにする必要はない
また、顧客満足度調査、覆面調査共に注意が必要なのが下記2つ。
- アンケート作りはルールを守って回答・分析しやすく作ろう
- 分析と改善活動を行わない調査では意味がない
いずれも自分たちだけで実行する際などにやってしまいがちな間違いになります。
- なんのために調査をしているのか?
- アンケートを書く人やお店を評価する人に一方的に負担になっていないか?
- 集まった結果を有効に使うにはどうするのか?
と言った点を忘れないよう調査を実施する前に整理し、実際の調査に臨みましょう。
調査自体は無料のGoogleフォームでも問題ありませんので、アンケートの設計や集計・分析は自分たちでもできると言う場合には、まずは無料で始めてみることをおすすめします。
やってみたいとは思うが、
- 相談できる相手がいない
- 忙しくてやってる余裕がない
- 一度やったけど上手くいかなかった
と言う方は、無理せずまずはプロに相談しましょう。
ファンくるではご相談やお見積りは無料となっておりますので、お気軽にご相談ください。
無料で顧客満足度(CS)調査や覆面調査(ミステリーショッパー)を相談してみる
目的にあった調査を行うためにも、顧客満足度(CS)調査と覆面調査(ミステリーショッパー)の違いを把握した上で実施しましょう。
スタートは小さくても構いません。
商品やサービスに対しての調査→結果を分析→改善するという流れを定着させ、より目指している結果繋げるためにも、まずは調査を始めることから始めてみましょう!