顧客満足度やCS(カスタマーサティスファクション)と言う言葉を耳にする機会が増えています。
一方で、
- 顧客満足度って何のこと?
- 自社の商品やサービスの顧客満足度はどうやって分かる?
- それをどう活かせばいいの?
など顧客満足度(CS)のことが良く分からないという方も多いのではないでしょうか?
この記事では、顧客満足度の定義、把握する目的、調査方法、その後の活用方法を解説します。
顧客満足度(CS)は顧客の満足度を数値化した指標
顧客満足度とは、顧客が商品やサービスに対してどれだけ満足しているか?どれだけ買って良かったと思ったか?を数値化したものです。
CS(Customer Satisfaction)と言うこともあり、飲食店やホテル、美容室などのサービス業から、Saas企業などで幅広く使われています。
商品やサービスの顧客満足度を調査することで、顧客が商品、サービス、企業、ブランドに対して、
- どこに満足しているか?
- どこに不満をもっているか?
- 何を改善する必要があるのか?
を気付くことができる指標です。
顧客満足度(CS)の高さは売上と相関する
なぜ顧客満足度(CS)が大切なのか?
それは、顧客満足度(CS)が売上と相関関係にあるからです。
顧客満足度(CS)が高い商品やサービスは、それだけ売り上げが向上するポジティブなサイクルを生みます。
- 質の高い商品・サービスを提供する
- お客様が満足する
- 売上向上
- 従業員満足度も上がる
- 1に戻る
このようなサイクルを社内・店内で生み出すことができれば、自然と売上の向上にも繋がります。
詳しくはこちらの記事にまとめています。
気になる方は「顧客満足度(CS)は本当に売上と相関・関係するのか」をご覧ください。
顧客満足度(CS)を上げるには顧客の「当たり前」を超える必要がある
顧客満足度(CS)を向上させるには具体的に何を行えばよいのか?
答えは簡単です。
お客様が商品やサービスに対して「当たり前」と思っている品質を超えればよいのです。
厄介なのはこの「当たり前」が、商品やサービス、価格帯、地域、顧客の属性などにより変わることです。
1,000円で購入できるお弁当があったとしても、安いと感じる人、高いと感じる人、こんなものと感じる人などサービスを受ける側により「当たり前」は異なります。
提供している商品やサービスが、お客様にとっての「当たり前」を提供できているかどうか?で顧客満足度(CS)は変わり、何度もリピートしてくれるファンになるのか、それとも離れてしまうのかが決まります。
まずは貴社の顧客が求める「当たり前品質」を要素分解し、改善すべきポイントを明確にしたうえで改善に取り組むことが大切です。
顧客が求める「当たり前」は事業者が考える「当たり前」とズレることが多い
事業者としてサービスを提供していると、いつの間にかお客様目線ではなく事業者目線での良いものを追求してしまうことがあります。
実際、
- 同じ業界の専門家同士の会話から、よりよいサービスを競い合う
- 自分達の理想を実現することにやっきになり、お客様に価値観を押し付けている
- 分かっていないとお客様を批判してしまう
と言ったお話を伺うことも。
これは、お客様の「こうであってほしい」と言う満足できるポイントと、事業者側が考える「これが良いサービスだ」にズレが起きているからこそ起きることです。
この状態では、どれだけ社内で会議を行ったところでお客様が満足する改善策を見つけることは難しいでしょう。
お客様が求めているものは何か?
認識のズレを整えるためにも一度顧客満足度調査を行い、お客様の期待を数値化して社内の共通言語とすることが大切です。
ここで東京建物リゾート様にファンくるを活用いただき、事業者側とお客様が「満足」する要素とのズレを見つけ、改善した事例をご紹介しますのでご参考にしてください。
お客様の期待を数値化し共通言語化することで、本社と現場が納得できる改善が実現し、口コミサイトの評価が急上昇 | ファンくる 【法人向けサイト】
顧客満足度調査を行う3つの目的
顧客満足度を調査、数値化する目的は大きく3つに分けられます。
- 製品品質、サービス品質向上のための定期的な調査
- 製品、サービスの課題や問題の把握のため
- ニーズ変化の把握のための定期的なコミュニケーション手段として
顧客満足度調査は目的によって対象者、聞くべきこと、聞く手段が変わります。
必ず何のためにやるのか?目的を明確にしてから実施しましょう。
【目的1】商品、サービスの品質向上のための定期的な調査
商品やサービスの品質がすでに一定の基準に達しているものの、
- 提供中の商品やサービスの品質が下がっていないか?
- 合格点を保っているか?
- 見えない変化が起きていないか?
など、何か問題が生じた際に速やかに対応・改善するための仕組みとして、多くの企業が定期的な顧客満足度調査を行っています。
例えば先月まではずっと好スコアを維持していたのに、今月は接客のスコアが大きく下がっている場合に、
- ベテランが抜けたことで接客の質が下がった
- スタッフが忙しすぎて廻しきれていない
- 新人スタッフが多くまだ成長段階
などと状況や原因に気付くことができ、直ちに対応を行うことができるため、商品、サービス、企業、ブランドへの大きな満足度の低下を避けることができます。
【目的2】商品、サービスの課題や問題の把握のため
前述の定期的な調査ではある一定の品質まで出来上がったのち、それを維持し、問題が発生した際に素早く対処するための定期的な調査でした。
商品やサービスの課題や問題点を把握するための顧客満足度調査は、
- 商品やサービスのリリース前にターゲット顧客に使ってもらい問題点をあぶりだす
- 新商品発売後に想定外の動きが見られたときに問題点を見つけるため
- 顧客が継続的に利用してくれない理由を見つけ出すため
など、商品やサービスの品質を一定基準まで上げていく際に行うものです。
そのため、定期的に実施よりも必要なタイミング(新しい商品を発売した、新しい機能ができたなど)で必要な調査を行うことが大切です。
ここで気付いた課題や問題点を解決することで、より多くの顧客に満足度の高いサービスを提供することに繋がります。
【目的3】顧客との定期的なコミュニケーション手段として
どんなに高品質なサービスであっても何かしらの不満や、改善のお願いや、状況変化によりニーズも変化している顧客は少なくありません。
しかし、実際に声を上げてご意見やクレームを言ってくれる顧客はわずか。
多くの顧客がサイレントクレーマーのまま何も言わずに離脱、解約してしまいます。
そんなサイレントクレーマーの声は商品やサービスをより良いものに改善するのに欠かせません。
サービスの改善や不満の払拭を行い、商品やサービスからの離脱を防ぐための手段として顧客満足度調査を行うケースもよく見られます。
顧客満足度(CS)調査は自社でやる?外部のリサーチ会社へお願いする?メリットデメリットとツール
実際に顧客満足度をやってみたい!となった場合、
- 自社で設計から分析までやってしまう
- 外部企業へ依頼する
の何れかを選択することになりますが、当然それぞれにメリット・デメリットがあります。
それは見て行きましょう。
自社で設計から分析まで行う
自社で取り組む場合、社内の人的リソースや顧客情報の収集状況によりますが、ピンポイントな調査や、好きなタイミングでの調査を行うことができます。
一方で最初から全てが上手く行くケースは少なく、ノウハウが溜まるまで試行錯誤や改善が必要となり、上手く廻るのに時間が掛かるケースが多く見られます。
メリット、いいところ
- コストを抑えることができる
- 聞きたいことを好きな時に聞ける
- 社内にノウハウが溜まりやすい
デメリット、問題点
- 社内の人的リソースに依存する
- やらなくてよいミスが起きる
- アンケートの数を集めるハードルが高い
必要なツールやサービス、情報
- Googleフォーム(無料のアンケートフォーム)
- メールやSNSなど顧客の連絡先リスト
- 回収後の結果を分析するための表計算ソフト、分析知識
調査・リサーチ会社へ依頼する
調査・リサーチのプロへ依頼する場合、社内のリソースや顧客情報の保有状況に左右されないことと、すでにノウハウを持っているプロに依頼することで、やらなくて良いミスを避けつつどのように調査、分析、改善すべきか?を知ることが出来ます。
一方で、当然コストが発生することと、担当者や経営者が積極的に活動を行わないと調査で満足し改善活動へ繋がらなかったり、現場が活用しないと言ったケースもございます。
メリット、いいところ
- 社内の人的リソースに依存しない
- 調査・リサーチ会社が持っているノウハウを活用できる
- 顧客情報を持っていなくても実施できる
デメリット、問題点
- 予算が掛かる
- 社内にノウハウが溜まり辛い
- 経営層と現場で温度差が出やすい
必要なツールやサービス、情報
- 特に無いが、外部サービスによっては追加で分析が必要になる場合もある
まずは外の企業にお願いし社内の体制や仕組みを整え、ある程度の段階で自社での実施に切り替えるのも良いでしょう。
商品やサービスによっては自社のみでの実施が難しいケースもありますので、その際は外部企業へ委託し定期的な調査を行うことをおすすめします。
顧客満足度調査の流れ
顧客満足度調査を行う流れは下記の通りになります。
- STEP1:目的とターゲット(対象企業、対象者)の明確化
- STEP2: 調査体制・スケジュール策定
- STEP3: 仮説設定・アンケート作成
- STEP4: 調査実施・アンケート回収
- STEP5: アンケート集計・分析
調査を行う際、毎回必ずこのステップを踏む必要はありませんが、少なくとも目的とターゲット、仮説を設定の上アンケートの作成は行った上で調査を行いましょう。
また、顧客満足度調査は調査をやって現状を把握しておしまい。では意味がありません。
見つけた課題や問題点を元に分析を行い、商品やサービスを改善して初めて意味があるもの。
いきなりすべてを整えてから実施する必要はありませんが、先を見据えた体制や仕組みを検討しつつ実施することが大切です。
顧客満足度調査やアンケート作成時の注意点
様々なツールがあり手軽にはじめられるようになった顧客満足度調査ですが、当然気を付けるべき注意点があります。
特に注意すべきは下記5つ。
- 個人情報の取り扱いに注意する
- 1回のアンケートでの質問項目数はできるだけ少なく。多くても30問くらい
- 項目1つに対して問いは1つに。同じことを何度も聞かない
- 自由記述はできるだけ使わず選択式に
- 評価と実態は明確に分けて、回答者を迷わせない
個人情報の取り扱いをおろそかにすると、商品はおろか企業への信頼を大きく失うこととなります。
情報管理のリスクを負いたくない場合、調査・リサーチ会社へ依頼することをおすすめします。
また、アンケート作りにも注意点はあります。
聞きたいことがたくさんある気持ちは分かりますが、一度に数百問、しかも全部が自由記入式のアンケートを渡されて回答する気になりますか?
多くの方は途中で回答を止めるか、そもそもアンケートを引き受けてくれません。
必ず聞く内容に優先度をつけて、質問数は絞って実施しましょう。
できるだけ回答者が迷わずスムーズに回答できるよう選択式の設問でアンケートを行うことで、回答者の手間のみならず分析する際の手間の削減にも繋がるので意識して設計しましょう。
調査だけでは意味がない。回収後の分析と改善が大切
集まったアンケート結果はそれぞれを単独で閲覧するのではなく、必ず集計・分析を行いましょう。
集計・分析を行うことで、30代の女性客は入店時の案内をきちんと行えば、もう一度お店に来てくれる可能性が高い。など、自社の商品やサービスのリピーター作りに何が大切なのか?を見つけることができます。
集計方法には単純集計とクロス集計があります。
- 単純集計:アンケートの質問事に回答数や比率をまとめたもの
例:年収200万円以下が20人、201~500万円が40人、501万円~800万円が30人、801万円以上が10人など - クロス集計:回答数や比率を質問への回答と年齢や性別、地域などの属性情報を掛け合わせ、傾向が分かるように集計したもの
例:年収201~500万円のうち10代が5人、20代が20人、30代が40人、40代が30人、50代以上が5人など
また、集計結果は数字だけで見るよりグラフなどを使って見やすく整え、関係者へ共有し、同じ情報を持って商品やサービスの改善を行うことが大切です。
外部サービスを使ってアンケートの設計や分析の手間を省くのも一つの手段
インターネットを使ったアンケート調査やインタビュー調査などは、無料で使えるツールも増え、手軽に実施できるようになってきました。
一方で、
- 調査、分析できる人材的余裕がない
- 何を聞けばいいのか社内に知見がない
- 自社でやってみたけど全然効果が出ない
など、やろうと思った、やってみたが思ったように効果が出なかった、相談する相手もおらずはじめたいけどはじめられないと言ったお話もよく伺います。
そんな時は実際にはじめるには多少コストは掛かりますが、調査・リサーチ会社を活用し、アンケートの設計、回収、分析など手間のかかる部分を外注してしまうのもおすすめです。
ファンくるではご相談やお見積りは無料なので、気になる方は一度ご相談ください。
まとめ
顧客満足度とは、顧客が商品やサービス、企業やブランドに対して
- どれだけ満足しているか?
- どれだけ買って良かったと思っているか?
を調査を行うことで数値化した指標です。
そのため、顧客満足度を出すには必ず調査を行う必要があります。
顧客満足度調査を行う目的は大きく分けると3つ。
- 製品品質、サービス品質向上のための定期的な調査
- 製品、サービスの課題や問題の把握のため
- ニーズ変化の把握のための定期的なコミュニケーション手段として
顧客満足度調査は「何のためにやるのか?」で対象者、聞くこと、聞く手段が変わりますので、必ず目的を確認した上で実施しましょう。
顧客満足度調査は自社でやるべきか?調査・リサーチ会社などプロに任せるべきか?
結論から言うと状況により異なります。
社内に人的リソースやノウハウがあり、顧客情報もしっかり管理できている場合は自社でやっても良いでしょう。
上記が揃っていない場合、まずは調査・リサーチ会社など外部のプロにお願いし、やらなくて良いミスを防ぎつつ実施することをおすすめします。
その間に社内の体制や仕組みを整えて、後々自社でやるもよし。
そのまま継続して定期的に外注先にお願いするもよし。
自社の商品やサービスの現状を早く正しく把握する最適な方法で実施しましょう。
顧客満足度調査の手順は下記の通りです。
- 目的とターゲット(対象企業、対象者)の明確化
- 調査体制・スケジュール策定
- 仮説設定・アンケート作成
- 調査実施・アンケート回収
- アンケート集計・分析
調査で現状を把握することはもちろん大事ですが、結果をもとに商品やサービスを改善しないと調査する意味がありません。
調査後の体制や仕組みを整えていくことが大切です。
顧客満足度調査実施時やアンケート作成時には注意すべきことが5つあります。
- 個人情報の取り扱いに注意する
- 1回のアンケートでの質問項目数はできるだけ少なく。多くても30問くらい
- 項目1つに対して問いは1つに。同じことを何度も聞かない
- 自由記述はできるだけ使わず選択式に
- 評価と実態は明確に分けて、回答者を迷わせない
個人情報の取り扱いは言わずもがなですが、ここで漏らしてしまっては企業自体への信頼度がガタ落ちとなるので、リスクを負いたくない場合は調査会社へ依頼することをおすすめします。
また、1度のアンケートに聞きたいことを詰め込みすぎたり、言い回しを変えて何度も同じことを聞いてしまうと回答者は嫌気がさし、途中から適当に答えるか、途中で回答を放棄してしまいます。
たくさん聞きたいことがあるのは分かりますが、その中でも優先順位をつけて質問を絞りましょう。
そしてできるだけ選択式で回答者がパッと回答できるよう作ることがポイントです。
顧客満足度は調べて終わりでは意味がありません。
上がってきたアンケートを集計・分析し、改善を行うことで、より多くの顧客が満足する商品やサービスへと広がる商品やサービスとすることができます。
より多くの顧客に満足して利用してもらうためにも、まずは商品やサービスの今の状態を把握することから始めましょう。