商品やサービスをお客様にとってより良く改善し顧客満足度を上げようと思ったとき、お客様が全く不満に思っていないところを自分達の感覚だけでできていないと判断し改善活動を行っても、残念ながら顧客満足度の向上にはつながりません。
御社の商品やサービスを利用しているお客様が
- 満足しているポイントはどこか?
- 逆に不満を持っているポイントはどこか?
を正確に把握した上での改善が必要です。
そして、正確に把握するには顧客満足度(CS)調査の実施が欠かせないのですが、調査を行うだけでは残念ながら正確に満足・不満ポイントを洗い出すことは難しいと言えます。
そこで大切になるのが、集まった調査結果に対して行う分析です。
この記事では最低限やっておくべき基本となる分析方法と、ちょっと難しいのでもしやる場合はプロに任せた方がよい分析方法、また、分析を行うにあたっての注意点をまとめています。
顧客満足度(CS)は売上に直結するお客様の満足度
顧客満足度とは、実際に商品やサービスを体験したお客様が、その商品やサービスの良し悪しだけでなく、さまざまな要素においてどれだけ満足したか?を指標化したものです。
英語のCustomer Satisfactionを略してCS、CS調査などと表記されることもあります。
顧客満足度は特定の要素だけでなく、複数の要素を含んでいます。
例えば飲食店で良く言われるのが「QSCA」。
- Q:クオリティー(品質)
- S:サービス(接客)
- C:クレンリネス(清潔さ)
- A:アトモスフィア(雰囲気)
例えばQ:クオリティー(品質)には飲食店であればお料理、美容室であれば帰宅後の再現性など、業種やお客様により求められることに合わせて必要な指標を設定することが大切です。
飲食店に関わるQSCAに関して、詳しくは下記記事にまとめています。
サービス業全般参考にできますので、よろしければご覧ください。
顧客満足度(CS)は調査するだけでは改善しない
顧客満足度(CS)を改善・向上させるには、調査するだけでは当然ながら足りません。
調査結果を集計してグラフにすることで、何となくの自社の現状が把握できれば十分。と言う場合には分析までを行う必要はありません。
しかし、商品やサービスの質や価格などお客様の満足度に繋がる要素を正しく改善し、満足度を向上させたいと言う場合は、調査結果を分析し、仮説を立て、施策を実行し、検証すると言ったPDCAサイクルを回す必要があります。
そこまで分析するのは面倒臭いから、一般的に大事だと言われていることをやっていれば、少しは意味があるでしょう?と思われる方もいるかと思います。
確かにまだ生まれて間もない商品やサービスであればそれらが有効な可能性もありますが、より効率的に、より効果的に顧客満足度を上げていくには緊急性・重要度の高い、低いを分析し、優先順位をつけて取り組む必要があり、次のアクションを決定するためにも分析を行うことが必要と言えます。
基本となる顧客満足度(CS)調査結果の分析方法
顧客満足度(CS)の結果を集計・分析するには、主に下記4つの方法があります。
- 単純集計
- クロス集計
- 相関係数
- ポートフォリオ分析
基本的な分析手法ではありますが、調査・分析を何のために行うのか?の目的が明確になっていれば、この基本的な4つの分析手法で十分に情報を得ることができるでしょう。
単純集計
単純集計は、集計・分析方法の中で最も単純で基本となる手法です。
回答を項目ごとに単純に加算、平均値の抽出、分布や比率を算出します。
単純集計した結果、強調すべき部分などがあった場合にはグラフ化を行うなどすることで、見た人が結果を把握しやすく表現することができます。
- あなたは○○したことはありますか? はいが65人、いいえが35人
上記のように簡単に結果を表現できるため、街頭調査の結果の表現などでよく使われている集計方法でもあります。
クロス集計
クロス集計は、性別や年齢、居住地などの属性情報や、商品やサービスを使った後の意見など2つの項目を掛け合わせて分析を行います。
- 年齢層×商品品質への満足度
- 性別×価格への満足度
- 居住エリア×商品認知度
と言ったように、自社の商品やサービスを利用しているお客様が、どういう人たちで、ある属性のお客様が好んでくれいているなど、顧客の傾向が見える分析手法です。
30代女性の商品の品質に対する満足度は高いが、価格への満足度は低い。また、同じ30代女性の中でも北海道では認知されていると言えるが、九州では全く知られていない。
など属性毎の特徴を知ることができます。
相関係数
アンケート結果から、改善すべきポイントを見つけるには、単純集計とクロス集計だけでなく、相関係数も見ると有効です。
相関係数とは結果に対して複数の変数がどのくらい関係があるものなのか?を数値で表現したものです。
-1~1までの値をとり、1に近いほど正の相関(関係性が高い)、-1に近いほど負の相関(関係性が低い)となります。
分析の結果、お客さまが商品やサービスのリピートに繋がる関係が高い要素は、接客が一番、続いて商品の品質です。などの情報を数値で表現できる分析手法です。
ポートフォリオ分析
ポートフォリオ分析は、商品やサービスの満足度と重要度に応じて、調査・集計した構成項目を二次元グラフ上にマッピングし、商品やサービスの改善点を可視化する分析手法です。
分布図を作る際境界線を設定する必要がありますが、ポートフォリオ分析においては各項目の算術平均が境界線となります。
4象限のエリアはそれぞれ下記のように定義づけられます。
- 第1象限エリア(右上):重要度・満足度共に「高」=維持し打ち出すべき強みとなる要素
- 第2象限エリア(左上):重要度「低」、満足度「高」=現状維持が必要な要素
- 第3象限エリア(左下):重要度・満足度共に「低」=後回しで問題ない要素
- 第4象限エリア(右下):重要度「高」、満足度「低」=優先的な改善が必要な要素
ポートフォリオ分析では、項目別の満足度と総合的な満足度の相関関係を把握することで、改善すると満足度が向上する点やあまり影響がない点を視覚的に表現し、戦略、施策の立案に活用されます。
より高度な顧客満足度(CS)調査結果の分析方法
実施するには統計学やデータマイニングなどの知識も必要となりますが、専門家にお願いできる場合や、より学術的に分析を行いたい場合には、多変量解析(重回帰分析、クラスター分析、因子分析、ロジステック回帰分析、決定木、構造方程式モデリング)も有効です。
しかし、一般的にはここまでの分析を行う必要はありません。
調査・分析の目的が明確であれば、
- 単純集計
- クロス集計
- 相関係数
- ポートフォリオ分析
の4つの分析手法を活用することで、十分に次の取り組みの方向性を見出すことは可能です。
よりデータを深堀する際や、専門的な分析が必要な場合は、専門家にお願いして多変量解析を実施してみてもよいでしょう。
顧客満足度分析の3つの注意点
顧客満足度(CS)調査と、その結果を分析する際は、一貫した「目的」が必要です。
- 何のために調査を行うのか?
- 何のためにこの分析を行うのか?
- 何のためにこの改善活動を行うのか?
この「何のために」が関係者内で一致していないと、調査・分析から分かった結果をうまく活用することは難しいでしょう。
また「目的」が一致していても、実際に調査・分析を行う中でより細かく注意が必要なポイントが3つあります。
- 集計、分析を行う際、項目を適当に決めない
- 改善活動に繋がる調査・分析を行わないと意味がない
- 分析結果を表やグラフにするときは、シンプルに分かりやすく
の3つです。
集計、分析を行う際、項目を適当に決めない
顧客満足度(CS)調査の結果を集計・分析する際には、必ず目的に沿って必要な手法と項目を選択しましょう。
なんとなく当たり前だよねと
- 年齢層×商品の価格の満足度をクロス集計
- 性別×商品の品質の満足度をクロス集計
- 職業×認知度をクロス集計
など分析を行っても、その手法や項目を使った目的が漠然としていては改善すべきポイントを見つけるのは困難です。
【調査目的】商品が現在のターゲット年齢外にもそのまま展開できる可能性の把握
【知りたいこと】ターゲット外年齢層の商品品質への満足度、年齢層別の認知度
【分析手法】クロス分析
【組み合わせる項目】年齢層、商品品質、認知度
など、調査目的、知りたいこと、分析手法、使う項目を整理した上で調査・集計・分析を行うと良いでしょう。
改善活動に繋がる調査・分析を行わないと意味がない
顧客満足度(CS)調査を実施する目的は調査・分析して結果を把握することで終わりではありません。
調査・分析の結果を元に改善活動を行い、顧客満足度を上げ、お客様の定着率や売上の向上こそが目的のはずです。
アンケートなどの設問を設計する際には、
- Aの結果が出たら●を、Bだったら▲を実施する
- ■を行い続ける意味があるかどうか、お客様に聞いてみよう
と言ったように、仮説を元にした次のアクションを明確にしたうえで調査・分析が行えると、分析した結果○○だった。で?どうする?など動きが止まることなく次のアクションに繋げることができます。
分析結果を表やグラフにするときは、シンプルに分かりやすく
数字だけで結果を提示するより、表やグラフで提示する方が、見ている方にとって分かりやすくなることは間違いありません。
しかし、見た人が分かり辛い表やグラフになってしまっていては意味がありません。
3D表現や過剰な装飾は行わず、シンプルで、誰が見てもすぐ分かるよう作成しましょう。
顧客満足度(CS)調査は分析を前提としたアンケート設計が大切です
顧客満足度(CS)調査では、結果を分析することを前提としたアンケートの作成が大切です。
NPSで推奨値を取る、5段階で満足度を取ると言ったことは、回答する側にとっても分かりやすく分析も行いやすい質問の設計ではありますが、数字で表すだけでは細かい分析を行うことはできません。
特に
- 何が満足だったのか?
- 何を不満に思ったのか?
の二点を把握することが大切です。
上記を把握することができれば、不満を持ったお客様がどこを不満と感じたのか?を正確に把握することができ、出てきた意見に優先順位をつけて改善を行うことで、全体的な顧客満足度の向上に繋がります。
また、満足度の高いお客様が重視しているポイントを自社の商品やサービスの強みとしてPRや広告などで活用し、共感した新しいお客様の獲得にも繋がります。
まとめ
顧客満足度(CS)は売上に直結するお客様の満足度で、実際に商品やサービスを体験したお客様が、その商品やサービスの良し悪しだけでなく、さまざまな要素においてどれだけ満足したか?を指標化したものです。
顧客満足度(CS)は調査するだけでは改善しません。
商品やサービスの質や価格などお客様の満足度に繋がる要素を正しく改善し、満足度を向上させたいと言う場合は、調査結果を分析し、仮説を立て、施策を実行し、検証すると言ったPDCAサイクルを回す必要があります。
顧客満足度(CS)の結果を集計・分析するには、主に下記4つの方法があります。
- 単純集計
- クロス集計
- 相関係数
- ポートフォリオ分析
基本的な分析手法ではありますが、調査・分析を何のために行うのか?の目的が明確になっていれば、この基本的な4つの分析手法で十分に情報を得ることができるでしょう。
一般的にはここまでの分析を行う必要はありませんが、より高度な顧客満足度(CS)調査結果の分析方法である多変量解析(重回帰分析、クラスター分析、因子分析、ロジステック回帰分析、決定木、構造方程式モデリング)も有効です。
よりデータを深堀する際や、専門的な分析が必要な場合は、専門家にお願いして多変量解析を実施してみてもよいでしょう。
顧客満足度(CS)調査と、その結果を分析する際は、一貫した「目的」が必要です。
「何のために調査・分析を行うのか?」が関係者内で一致していないと、調査・分析から分かった結果をうまく活用することは難しいでしょう。
また「目的」が一致していても、実際に調査・分析を行う中でより細かく注意が必要なポイントが3つあります。
- 集計、分析を行う際、項目を適当に決めない
- 改善活動に繋がる調査・分析を行わないと意味がない
- 分析結果を表やグラフにするときは、シンプルに分かりやすく
調査・分析の結果を関係者に分かりやすく伝え、有効な行動に繋げるためにも、上記3つのポイントにはお気を付けください。
最後に、顧客満足度(CS)調査は分析を前提としたアンケート設計が大切です。
NPSで推奨値を取る、5段階で満足度を取ると言ったことは、回答する側にとっても分かりやすく分析も行いやすい質問の設計ではありますが、数字で表すだけでは細かい分析を行うことはできません。
お客様は
- 何が満足だったのか?
- 何を不満に思ったのか?
を正確に把握することができ、出てきた意見に優先順位をつけて改善を行うことで、全体的な顧客満足度の向上に繋げることができます。