こんにちは!
お店をやっていると、新規集客とリピーター作りの両方共に大事なことはすでにご存じでしょう。
ですが、実際にやってみたけど
- なんだかうまく行かない
- スタッフみんなが違う方向を向いてしまっている
- 集客はとりあえずクーポンでなんとかなるんだけど…
と言った方も多いのではないでしょうか?
この記事では、飲食店がリピーターを獲得していくにあたっての考え方、やること、注意すべきをまとめています。
まずは誰をリピーター(常連客)と呼ぶか明確にしよう
リピーター(常連客)とは、お店に来てくれるお客様の中で、繰り返し何度も来店してくれるお客様のことです。
そんなことは分かってると言う方も多いかもしれませんが、では、何回お店に来てくれた方をリピーター(常連客)とするか、お互いの認識があっていると言い切れる方はどれだけいらっしゃるでしょうか?
- トータルで、3回以上とか?
- いや、週に2回は来てくれないと常連のお客様とは言えない
- いやいや、店長と会話したことないお客様は一見さんでしょう
などなど、おそらく多くの方は明確な定義付けまでは行われておらず、何となく「リピーター、常連のお客様」と言ったキーワードを使って、施策を検討されているのではないでしょうか。
もちろんお店の単価や業種・業態に寄りけりな部分ではありますが、だからこそ「リピーター」は明確な定義付けを行っておかないと、
- 各々で違うターゲットを見てしまう
- 現場と経営層で認識が大きくズレてしまい理解が進まない
- 取り組みが結果に繋がらない
と言った事態を起こします。
リピート率を上げたい、リピーターを獲得したいと言った目的で施策を行う際には、店舗や関係者の「リピーター像」を共通化し、同じ方向を向いて取り組むことが大切です。
リピート率とリピーター率は間違いやすいけど違うもの
リピーターを獲得するためにいろいろと施策を実施した際、リピート率を計測することを忘れないようにしましょう。
取り組んだ施策が本当にリピーター化に繋がったのか?を実際の数字で把握して改善していくことが大切です。
ただ、リピート率と似た言葉に、リピーター率と言うものがあります。
よく似た言葉で、ついつい混同していたり間違って使ったりしてしまいがちですが、全く異なるものなので違いを把握して、正しく使用しましょう。
リピート率とは、新規客のうちの何割がリピートしてお店に来てくれたのか
リピート率は別の言い方をすると「継続率」となります。
新規でお店に来てくれたお客様のうち、何割のお客様が継続して来店してくれているか?を数値で表すものです。
具体的な計算式は以下の通り。
リピート率(%)= 一定期間のリピート顧客数(人)÷ 累計新規顧客数(人)× 100
今までの新規顧客の総数が1000人だったとして、今月来店してくれた顧客のうち2回以上来店してくれている顧客が100人だったとすると、
100人÷1000人×100=10%
今月のお店のリピート率は10%となります。
リピート率を定期的に確認することで、リピーター客に向けた取り組みがうまくいっているかを検証することができます。
例えば1度来てくれたお客様にポイントカードを配布した結果、配布する前と比べてリピート率が上がった=ポイントカードの配布は成功だった。と言えるでしょう。
このように、新規のお客様のリピーター化を目指す場合、施策の実施と同時にリピート率の把握はとても大切です。
リピーター率とは、一定の期間にお店に来た人の何割がリピーターだったのか
リピーター率とは、一定期間に来店されたお客様の中で、何割のお客様がリピーターだったのか?を数値で表すものです。
具体的な計算式は以下の通り。
リピーター率(%)= 一定期間のリピート顧客数(人)÷ 一定期間の総顧客数(人)× 100
例えば今月の総来店数が500人だったとして、そのうちの200人が2回以上来店してくれている顧客だったとすると、
200人÷500人×100=40%
今月のお店のリピーター率は40%だったとなります。
リピーター率の難しいところは、リピーター率が高すぎる=常連さんしかいない店となり、リピート率と違って上げれば上げるだけよいものではありません。
ライフスタイルの変化などがあっても同じお客さんが未来永劫来店し続けてくれるかどうか?
答えはNOです。
既存のお客様だけに依存するのではなく、一定数常に新しいお客様に来てもらいリピーター化してもらう。
このサイクルを廻し続けることが長くお店をやっていく上で大切です。
飲食店にとってリピート率を上げるのが大事な理由
2018年にホットペッパーグルメ外食総研が実施した調査のデータですが、1ヶ月に1度以上外食(食事または飲酒)を行う人を対象にした調査で、1週間の外食回数のうち、再利用の飲食店での外食回数(リピート利用率)は77.5%という数値が公表されています。
飲食店リピート実態&要因調査 ホットペッパーグルメ 外食総研 2018年9月25日
また、弊社ROIによる居酒屋利用についての意識調査(2021年12月13日)の結果においても、直近で利用した居酒屋はどういった経緯で訪れましたか?の質問に対し、「以前来店したことがあった」と40代以上は半分以上が回答するなど調査時期に3年ほどズレはありますが大きな変化は無いように見られます。
居酒屋利用についての意識調査 株式会社ROI 2021年12月13日
これらの調査結果からくみ取れるのは外食を行う多くの方は、一度行ったことのあるお店をリピートする比率が高く、世代が上がるにつれ新規のお客様としての獲得が難しくなっていくということが言え、継続的なお店の運営にリピート率が高いことがいかに大切かということが分かります。
お店の利益の8割は、いつも来てくれる常連さんでできている
よく、売り上げの80%は20%の社員によって生み出されている!などの表現で使われる「80:20の法則」。
実はお客様にも当てはまります。
お店の利益の8割はいつも来てくれる常連さんでできている。
正確に計算を行うともちろんその比率はお店により異なりますが、どんなお店でもリピーター(常連客)が大きな利益を作ってくれていることは間違いありません。
新規のお客様の獲得に力を入れるとその分出ていく経費も大きくなります。
一般的に新規客を得るためにはリピーター獲得の5倍のコストが掛かると言われる「1:5の法則」などもあり、リピート率が低い状態で新規のお客様の獲得にコストを掛けることが、いかにリスクの大きいことかが分かります。
新規のお客様の獲得も大切ですが、合わせて彼らがリピーターになってくれる状況を作って行くことが、結果的にお客様の満足度の高いお店になることでもあり、大切なのです。
新規客獲得のコストを下げることに繋がる
飲食店に限らず、ほとんどの店舗商売における集客施策の目的は
- 新規顧客の獲得
- リピーター(常連・既存顧客)の獲得
の二つに分けられます。
こと新規顧客の獲得についてはコストが掛かりますが、リピーター(常連客)がお客様を連れてきてくれるようになると、それだけで集客コストを抑えることが可能です。
直接連れてきて来店してくれるケースもあれば、SNSや口コミで紹介など間接的な広告効果も期待することができます。
顧客満足度を計測して店舗の品質改善に活かせる
リピーター(常連客)になってくれたお客様は新規のお客様と比べるとすでにロイヤリティが高い状態と言うことができます。
中でも何度もリピートして来店してくれているようなお客様は特にですね。
そんなお客様に、
- お店のどういったところが気に入っているのか?
- 逆に気になるところはどこか?
と言ったことを聞いてみましょう。
面と向かって聞くのが難しいという場合はアンケート調査で構いません。
よりお店をよくするためにとお伝えすれば、いやな顔をする方はいないでしょう。
いただいた意見を元にきちんと改善を行うことで、リピーターの満足度が上がると同時に、新規のお客様にとっても良いお店作りに繋がります。
リピート率を上げるためにやるべき3つのこと
リピート率を上げるために、やるべきことは下記3つです。
- お店の料理や接客の質を上げる
- 様々なチャネルでお客様と接点を作ってお店を思い出してもらう
- 「得」してもらってもう一度行きたくなってもらう
それぞれ詳細に見て行きましょう。
お店の料理や接客の質を上げる
なにはなくともこれがとても大切です。
ただし、あくまで自分のお店のお客様に合った質の高い状況を作ることが大切です。
- 居酒屋だけどめちゃくちゃ静かな接客で基本お客様を放置
- 高級フレンチで大声でワイン入りま~す!!
どちらも仮にとても質が良い接客だったとしても、あきらかにミスマッチですね。
上記の例は分かりやすいように大げさにしてみましたが、細かい部分でそれは本当にお客様が求めている行為なのか?ズレているお店があることも。
よく出る料理があるが一見のお客様ばかりが注文していて常連のお客様は注文しない→該当のお料理に何か問題があるのでは?など、事実を把握することでリピート率を上げるために何を改善するべきか?が明確になります。
自分達が普段提供しているお料理や接客が、本当にお客様のニーズを満たしているか?自分達では把握したり客観的に判断ができないという場合には、アンケートで聞いてしまいましょう。
顧客満足度を上げるためのアンケート調査の方法についてはこちらの記事で詳しくまとめています。
(設問項目リスト付き)顧客満足度調査のアンケートの作り方。設問の作り方と設計のポイントをご紹介
様々なチャネルでお客様と接点を作ってお店を思い出してもらう
よくSNSで発信しよう!やLineでメッセージを送ろうと言った施策が紹介されていますが、いずれも目的は一度繋がったお客様に「思い出してもらう」ことです。
思い出してもらうことができれば、どのツールを使うかは問題ではありません。
あなたのお店に来るお客様が普段使っているツールを選んで情報発信を行いましょう。
昔から恋愛で遠くの彼より近くの男と言うように、人同士に限らず企業と人、お店と人であっても接点や接触回数が多いことはとても大切です。
SNSやLINEはコストを抑えつつアプローチを行えるという点でメリットはありますが、一方で自分の情報を見てもらうためのハードルは高かったりもします。
せっかく発信した情報も届かなければ意味がありません。
繰り返しですがあなたのお店に来るお客様が普段使っているツールを選んで、お客様と頻繁に接触できる接点を作ることが大切です。
「得」してもらってもう一度行きたくなってもらう
お客様に得してもらうという点で、
- ポイントカード
- 会員のランク化
- 公式アプリでのみお得なクーポンの配布
- お友達を連れてきてくれたら割引適用
など、よくある手ですが分かりやすいインセンティブを付けるのは一つの施策として有効でしょう。
しかし、なにもインセンティブだけがお客様が「お得」さを感じるものではありません。
- 店長や店員と顔なじみになることで頼めるメニューが増えるなどのイベント
- 手厚い接客などで総合的に「コスパが良い」と思ってもらうこと
なども「お得さ」に繋がります。
工夫次第でお店の売りや個性に繋げることができるポイントでもありますので、ぜひさまざまな施策にチャレンジしていただければと思います。
リピート率を上げる施策を実施する際に気を付けること
リピート率を上げるためのやり方は様々にありますが、一方で気を付けなければいけないこともあります。
特に抑えておくべきは下記2つ。
- 休眠顧客をできるだけ作らない
- 価格競争だけで勝負しない
それぞれ詳しく見てみましょう。
休眠顧客をできるだけ作らない
さまざまな業界で一番難しい課題でもありますが、何度かリピートしてくれたもののいつの間にか来店しなくなってしまうお客様のことを「休眠顧客」と呼びます。
彼らに再度来てもらうための様々な施策もありますが、一度来なくなった方に再度来店いただくのはかなり難しいため、まずはリピーターの休眠顧客化を防ぐことが大切です。
定期的にお客様と接触できる接点を作りコミュニケーションを継続するなど、日ごろから気を配って少しでも休眠顧客化を防ぎましょう。
価格競争だけで勝負しない
集客を目的とした場合、手っ取り早く効果がでるのが「値引きによる価格競争」です。
- クーポンの配布
- タイムセール
- 予約特典
など値引きの方法はたくさんありますが、あまり頻繁に値引きを行っていると通常価格時にお客様が来てくれないなどの弊害や、いつも値引きしているイメージが付くなどブランド棄損に繋がります。
値引きを行う場合は薄利多売でも利益が見込める状況などにおいて使うなど、慎重に判断を行いましょう。
まとめ
お店にとってどういう人がリピーターか?
施策をより効果的なものとするためにも、認識の共通化は大切です。
各々が違う方向を向いた状態で施策を行わないよう気を付けましょう。
また、リピーター率を上げることも悪いことではありませんが、あまりリピーターだけに依存してしまうのは危険です。
新規のお客様がリピートしてくれる可能性を高めることこそが、長期的にお店を運営していくには欠かせません。
特定のお客様に依存したり偏り過ぎた施策を行わないよう注意しましょう。
新規のお客様のリピート率を高めることで、お店にとっては売り上げが安定したり、集客コストが下がったり、よりスピーディーにお店を良くしていくことに繋がります。
そんなリピート率ですが、上げるための施策だったとしても、繋がったお客様を安易に休眠顧客にしてしまったり、気軽に値引き行為を行うことでリピート率を上げようするのは、ブランドの棄損や値引き時にしか集客できない状態に繋がる可能性もあるので要注意です。
一定以上のサービスを提供しているお店だと、これをやれば必ずリピート率が向上すると言える施策はありません。
御社のお店のお客様に寄り添った方法を選択し、リピート率の向上と維持を目指しましょう。