顧客満足度(CS)調査がなんとなく大切だとは思っているんだけど、結局何のためにやるんだっけ?という方もいらっしゃるかと思います。
実際自分もそうで、最初は単純に
- 企業の自己満でしょう?
- どうせ答えは分からない
- アンケートが楽に取れるだけ
などの印象を持っていましたが、様々な案件を見たり、お客様からの回答をみるにつけ、これはやらないとマズいんじゃないか?と思うようになりました。
と言うことで今回は、顧客満足度(CS)調査をやる目的と、そもそも実施するメリット・デメリット、どうやってやるのかと進め方、実際に行う際の注意点をまとめています。
顧客満足度(CS)調査とは?
顧客満足度(CS)調査とはお客様が商品やサービスを体験した後、どれだけ満足しているか?を定量的に調査し数値化するために調査を行うことです。
主にはアンケートやインタビューなどでの調査が実施され、500~1000程度のサンプルで行います。
商品やサービスの顧客満足度を調査することで、顧客が商品、サービス、企業、ブランドに対して、
- どこに満足しているか?
- どこに不満をもっているか?
- 何を改善する必要があるのか?
を気付くことができ、売り上げを向上させたりリピーターの獲得を目指すときに、取り組む優先順位を整えたり、トライ&エラーで精度を上げることに活用されています。
顧客満足度(CS)についてはこちらの記事で詳しくまとめていますので、よろしければご覧ください。
顧客満足度とは?調査のやり方、アンケートのポイント、注意点を解説
顧客満足度(CS)調査のメリット・デメリット
顧客満足度(CS)調査にも当然メリット、デメリットがあります。
顧客満足度(CS)調査のいいところ・メリット
- 業務効率、業務改善効率の向上
- 客観的意見に基づいた課題を探せる
顧客満足度(CS)調査の最大のメリットは、自社商品に対して、自分達が想像している課題や改善点ではなく、実際にお客様が感じている課題や改善点を知ることができること。
市場のニーズと自分達が思うニーズにズレが起きるのはよくあることですが、顧客満足度(CS)調査でお客様の本音を知ることで、進む方向の調整や、改善すべき課題の優先順位を変更し、より効果的な改善活動に繋がります。
顧客満足度(CS)調査の微妙なところ・デメリット
当然デメリットもあります。
- コスト(費用・人材・時間)が掛かる
- 答えが見つかるわけではない
自社でやる場合でも他社にお願いする場合でも当然コスト(費用、人材、時間)が発生します。
そのため、どうしても社内から
- 今それをやるべきなのか?
- もっと他に優先順位の高い業務があるのでは?
- 今は無駄にコストを使える時期じゃない
など、反論が出やすい活動ではありますが、その後の改善活動を効率的、より効果的に行うためにも自社の商品やお店の現状把握を行っておくことはおすすめします。
また、改善すべき課題は見つかりますが、どのように直すと顧客満足度(CS)が向上するかは見つかりません。
実際に改善を行った上で再度調査を行い、お客様が期待していた状態を提供できているか確認する必要があります。
顧客満足度(CS)調査の実施方法
顧客満足度(CS)調査の方法は多くありますが、ポイントを整理すると下記6つとなり、それぞれの組み合わせで最適な調査方法と必要な工数や知識が異なります。
- 定量調査(数字など計測できる結果を求める調査)
- 定性調査(意見など計測できない結果を求める調査)
- インターネットで行う(インターネットアンケート、インターネット座談会など)
- 対面で行う(座談会やユーザーインタビュー、手書きのアンケートなど)
- 自社で行う
- プロに任せる
何れにせよ自社で実施する場合には、メルマガなどお客様情報のリストや、アンケートを設計、集計、分析できる人材などが必要となります。
プロに任せる場合は、アンケートの作成や分析の知識や人材がなくとも始めることができ、また、お客様情報をリストとして持っていなくとも代替手段を使って調査を実施できます。
どちらがより良いかは御社の状態によりますので、どうにも判断つかない場合は一度プロに相談してみると良いでしょう。
顧客満足度(CS)調査を行う5つの主な目的
顧客満足度(CS)調査を行う目的は、大きくは下記5つに集約できます。
- 定期的な満足度把握で顧客のニーズとの差、動向を知りたい
- 自社の商品販売過程における課題の特定と改善点の洗い出したい
- 自社と競合他社の差別化ポイントの把握したい
- 自社のお客様の特徴(属性や好みなど)の把握したい
- 商品の信頼性・満足度を対外的に公表するために情報を集めたい
もちろん細かく見て行くと他にもありますが、ここでは上記5つの目的に合わせて調査を行った場合、何に活用できるか?を見てみましょう。
定期的な満足度把握で顧客のニーズとの差、動向を知りたい
定点観測的に顧客満足度調査を続けることで、自社の商品やサービスが徐々にお客様のニーズと離れているのか?近づいているのか?、また離れているとしたらお客様のニーズはどのように変遷しているのか?を確認することができます。
この情報は自社や商品の進路や、改善する・しないの判断を行う際などに一つの基準として活用することができます。
自社の商品販売過程における課題の特定と改善点を洗い出したい
販売過程のステップ毎に、お客様が
- 悩んだことがあるか?
- 気になることがあるか?
- 不満に思ったことがあるか?
を確認することで、商品を手に取ったり検討したけれども購入に至らなかったお客様の理由が現れます。
一度の改善で全てが変わるわけではありませんが、一つずつ洗い出した課題を改善していくことで、より多くの人に商品を購入いただける機会を生み出すことに繋がります。
自社と競合他社の差別化ポイントを把握したい
- 強みだと思っていたが他社と五十歩百歩だった
- 弱みだと思っていたら思っていたよりお客様に支持されていた
など、企業とお客様の間でズレていないか?自社で気づいていない強みや弱みがあるのでは?を確認することができます。
この情報は、強みを尖らせて差別化していくか、弱みを改善して底上げを行うかの判断に活用することができます。
自社のお客様の特徴(属性や好みなど)を把握したい
店頭で接客を行っているのでなんとなくこう言う人たちが来てることは把握しているが、具体的にデータとして収集したことがなかったり、特定の属性のお客様がどの商品を購入しているのか?などを把握することです。
これらの情報は、商品を販売する過程や商品を開発する過程で活用することができます。
商品の信頼性・満足度を対外的に公表したい
95%のお客様が満足と答えています!みたいなやつですね。
対外的に打ち出すことで、会社や商品の信頼性作りに繋がります。
顧客満足度(CS)調査の進め方
顧客満足度(CS)調査の手段は様々ありますが、進め方は基本的に書き5ステップです。
これは自社で行う場合、他社に外注する場合のどちらでも共通となります。
- STEP1:目的の整理と調査の企画
- STEP2:顧客(お客様)に聞くことの整理・作成
- STEP3:調査の実施・アンケート回収
- STEP4:データの集計・整理・分析
- STEP5:結論を出して改善プランの作成
それぞれ詳しく見てみましょう。
STEP1:目的の整理と調査の企画
調査をする目的と、誰に、どうやって聞くのか?どの程度の人に聞くのか?を設定しましょう。
目的を定めずに調査を行っても、こんなもんか。で終わってしまい、調査を行う意味がありません。
逆に現状で特に目的がないのであれば、無理に調査を行う必要はないと言えるでしょう。
何のために聞くのか?
目的を設定しましょう。
- お客様のニーズを知りたい
- 今持っている課題を知りたい
- 商品の強みや差別化ポイントを知りたい
- どういうお客様がいるのか知りたい
- 商品の満足度を集めたい
顧客満足度(CS)調査で把握できることはおおよそ上記5つに分類されますので、この中の何れかに該当する場合顧客満足度(CS)調査を行ってみても良いでしょう。
もちろん上記に該当していなくとも、お客様に聞いてみたほうが良いことはありますので、その場合にも調査を行ってみて良いでしょう。
また、上記の目的に合わせて
- 誰に聞くべきか?
- どうやって調査を行うか?
- どのくらいの人の意見を集めるか?
を決めましょう。
誰に聞くべきか?
性別、年代、居住地域、年収、職業などお客様の基本属性を決めましょう。
例:30代~40代の都心郊外に住む営業職の女性。仕事で週に3回都心に出ている。
基本属性だけだとまだ幅が広いので、できれば自社商品やサービスの利用経験、趣味嗜好などのサブ的な属性も設定できるとより具体的な意見を集めることができます。
例:毎週金曜日のお昼に来店して、ランチに900円くらいまでは使ってくれる
どうやって調査を行うか?
どのように調査を行うかを決めましょう。
実施方法はインターネットを使ったアンケート調査やグループインタビューなど、ネット上か実際に対面して行うかのほかに、自社で取り組むか他社にお願いするかなどを決める必要があります。
自社で取り組む場合はリソースやノウハウ、顧客リストなどが必要となりますが、他社で行う場合には変わりに費用を払うことでそれらをお任せすることが可能です。
御社の状況により最適な方法は変わりますので、検討したが不安だという場合には一度プロに相談してみるのもよいでしょう。
どの程度の数を集めるのか?
統計的に取るならアンケートの回収数は1,000件あれば十分です。
偏りのある意見でもいいので全く違う視点からの意見が欲しいという場合は、1人~5人程度の意見でも参考とすることは可能です。
アンケートの回収数は1度で集めても良いですが、毎月数件ずつ1年かけて集めるなど定期的に行うことで、季節ごとの違いやその時に起きた時事的な問題の影響なども見ることができます。
STEP2:顧客(お客様)に聞くことの整理・作成
お客様に聞くことを整理しましょう。
設定した目的に沿って、
- どんな質問をするのか?
- 写真や音声など、他にも情報は必要か?
- どの程度の量を一度に聞くのか?
を設定し、具体的な設問を詰めていきましょう。
STEP3:調査の実施・アンケート回収
実際にアンケートを実施し、回収しましょう。
店舗など自社サービス上で行う場合は、お客様の来店時にアンケートへの協力を促すなどのオペレーションが必要となります。
このときに簡単なもの(お菓子や次回利用時のクーポン、お子様と一緒に楽しめる工夫など)で良いのでインセンティブを与えると、効果的なアンケートの回収に繋がります。
STEP4:データの集計・整理・分析
アンケートの結果をデータ化し、集計、分析を行いましょう。
ウェブサイトやアプリを使ったアンケートの場合は集計や整理までシステムで行うことができますが、手書きのアンケートの場合データ化など追加で作業が必要になります。
後々のデータの活用を考えたときに手書きのアンケートを回収してそのままにしておくのではなく、できるだけウェブサイトやアプリを使ってアンケートを行い、データ化しつつ手間を省くことをおすすめします。
データ化まで行っておくことで、そのデータを活用した集計や分析を専門家にお願いすることも可能です。
STEP5:結論を出して改善プランの作成
集まった結果を分析したのち、調査結果に結論を出しましょう。
自社商品に対するお客様の満足度が低かったのか、それとも高かったのか。
その結果で次のアクションが変わります。
せっかく集めたデータも次に繋げないと意味がありません。
結論を出し、一つずつ行動していくことでこそ、顧客満足度(CS)は改善していきます。
顧客満足度(CS)調査で注意すべき3つのポイント
調査を行ったものの、質問数が多すぎて後半になると皆同じ答えになってしまう(選択肢の1つ目を皆が選択しているなど)など、参考にならなかったと言うケースもあります。
調査を行うに於いては、少なくとも下記3つのポイントに注意をしたうえで実施しましょう。
- 意見の偏りの可能性を下げるために、ある程度母数を集める
- 一度の調査で聞く質問は多くても30問程度にする
- 質問はできるだけ簡単・簡潔に分かりやすく
意見の偏りの可能性を下げるために、ある程度母数を集める
お客様の意見とは言え、たった一人の好き嫌いに影響されすぎると良くありません。
必ずしも1度で多くの意見を集める必要はありませんが、最低でも複数人の意見が集まる状況で調査を行いましょう。
一度の調査で聞く質問は多くても30問程度にする
一度で多くの質問(100問を超えるなど)をし過ぎてしまうと、当然回答に時間が掛かることになり、より大きなインセンティブを与えるなどを行わないと回答者のモチベーションは下がります。
結果的にアンケートの後半の回答が適当になったり、そもそもアンケートが集まらないと言った事態に繋がりますので、多く聞く場合でも30問~40問程度に抑えることをおすすめします。
質問はできるだけ簡単・簡潔に分かりやすく
質問はできるだけ簡潔にしましょう。
例えば、
- トイレがどこかを店員に聞いた上でトイレの清潔感を確認してください。
よかった / 微妙だった / よくなかった
と言うような質問だと、結局何を回答すればよいのかが分かりません。
このような場合は、
- トイレの場所を確認した場合の店員の対応はいかがでしたか?
適切だった / 微妙だった / よくなかった - トイレは清潔に保たれていましたか?
はい / いいえ
と2問に分けることで、聞かれていることと回答すべきことが明確となり、回答しやすく且つ集計しやすいアンケートを作ることができます。
まとめ
顧客満足度(CS)調査とはお客様が商品やサービスを体験した後、どれだけ満足しているか?を定量的に調査し数値化するために調査を行うことです。
顧客満足度(CS)調査を行うメリットは、
- 業務効率、業務改善効率の向上
- 客観的意見に基づいた課題を探せる
一方デメリットは、
- コスト(費用・人材・時間)が掛かる
- 答えが見つかるわけではない
顧客満足度(CS)調査を行うと、改善すべき課題は見つかりますが、どう改善すると顧客満足度(CS)が上がるか?は分かりません。
実際に改善を行った後、再度顧客満足度(CS)調査を行い、お客様の期待値を超えることができているか?を確認しましょう。
また、実施方法は下記6つのポイントの組み合わせで判断が必要です。
- 定量調査(数字など計測できる結果を求める調査)
- 定性調査(意見など計測できない結果を求める調査)
- インターネットで行う(インターネットアンケート、インターネット座談会など)
- 対面で行う(座談会やユーザーインタビュー、手書きのアンケートなど)
- 自社で行う
- プロに任せる
何れにせよ自社で実施する場合には、メルマガなどお客様情報のリストや、アンケートを設計、集計、分析できる人材などが必要となり、プロに任せる場合は、アンケートの作成や分析の知識や人材、お客様情報をリストなしでも代替手段を使って調査を実施できますがそれだけコストが掛かります。
どちらがより良いかは御社の状態によりますので、どうにも判断つかない場合は一度プロに相談してみると良いでしょう。
顧客満足度(CS)調査を行う主な目的は5つ。
- 定期的な満足度把握で顧客のニーズとの差、動向を知りたい
- 自社の商品販売過程における課題の特定と改善点の洗い出したい
- 自社と競合他社の差別化ポイントの把握したい
- 自社のお客様の特徴(属性や好みなど)の把握したい
- 商品の信頼性・満足度を対外的に公表するために情報を集めたい
です。
どの目的で調査を行うかで、使うべき手法や返ってくる結果が変わりますので、実際に調査を行う前に、何のためにやるのか?はプロジェクトに関わるメンバー内で擦り合わせを行いましょう。
調査を進める際には下記5段階で手順に沿って実施しましょう。
- STEP1:目的の整理と調査の企画
- STEP2:顧客(お客様)に聞くことの整理・作成
- STEP3:調査の実施・アンケート回収
- STEP4:データの集計・整理・分析
- STEP5:結論を出して改善プランの作成
調査して終了では調査の意味がありません。
必ず分析を行い、結果に結論を出し、改善プランを作成し実際に改善に取り組みましょう。
顧客満足度(CS)調査で注意すべきは下記3つです。
- 意見の偏りの可能性を下げるために、ある程度母数を集める
- 一度の調査で聞く質問は多くても30問程度にする
- 質問はできるだけ簡単・簡潔に分かりやすく
お客様の意見とは言え、お一人に意見に左右されてしまうと方向性を見失うこともあります。
ある程度母数を集めて、お店や商品の個性を壊さない分野での平均点を上げましょう。
また、あまりにもたくさん質問されたり、文章をじっくり読まないと回答できないような質問だと、そもそもアンケートの回収自体が困難となります。
できるだけ少なく簡単な質問で、要点を絞って聞くことで、回答する側も後で集計する際にも楽に行うことができますので、心掛けるようしましょう。