顧客満足度(CS)の重要な3つの指標と、計測手段、調査する際の注意点を解説

顧客満足度(CS)調査をやるならきっちり見たい重要な指標について 調査の種類・指標について
顧客満足度(CS)調査をやるならきっちり見たい重要な指標について

顧客満足度(CS)調査をやってみたい。

でも、結果をどういう指標に当てはめて見て行けばいいの?と疑問に思っている方も多いでしょう。

結論から言うと目的に沿った指標を選択して、継続して追いかけて下さい。と言うことになるのですが、じゃあどの指標が合っているのか?判断するのは難しいですよね。

この記事では、顧客満足度を測るための指標を重要なものと、詳細に把握するためのものに分けつつ、調査の方法と調査を実施する上での注意すべきポイントを紹介しています。

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顧客満足度(CS)調査とは?

顧客満足度(CS)調査とはお客様が商品やサービスを体験した後、どれだけ満足しているか?を定量的に調査し数値化するために調査を行うことです。

主にはアンケートやインタビューなどでの調査が実施され、500~1000程度のサンプルで行います。

商品やサービスの顧客満足度を調査することで、顧客が商品、サービス、企業、ブランドに対して、

  • どこに満足しているか?
  • どこに不満をもっているか?
  • 何を改善する必要があるのか?

を気付くことができ、売り上げを向上させたりリピーターの獲得を目指すときに、取り組む優先順位を整えたり、トライ&エラーで精度を上げることに活用されています。

顧客満足度(CS)についてはこちらの記事で詳しくまとめていますので、よろしければご覧ください。

顧客満足度とは?調査のやり方、アンケートのポイント、注意点を解説

顧客満足度を測る指標は全部で8つ

顧客満足度(CS)を測定する際によく使われる指標は全部で8つあります。

  1. NPS:他者への推奨
  2. CSI:顧客満足度指数
  3. JCSI:日本版の顧客満足度指数
  4. CAST:顧客満足度
  5. LTV:顧客生涯価値
  6. CES:顧客の不満・努力指標
  7. CRR:顧客維持率
  8. リテンションレート:顧客定着率

の8つです。

ここではそれぞれを重要度の高い指標と、より細かく追うための指標に分けてご紹介します。

顧客満足度はNPS、CSI、JCSIの3つの指標の重要度が高い

顧客満足度(CS)調査を行う際、下記3つの指標のうちのいずれかは必ず指標として設定しましょう。

最近では顧客満足度が高くとも他者へ紹介されることがない商品では、新規顧客の獲得に大きなコストが掛かることとなり、売上の拡大が見込めないなど企業の収益に直結しやすいことから、NPSが用いられることが多くなっています。

NPS:他者への推奨

Net Promoter Scoreの略で、商品やサービス、お店を他人(知人、友人、第三者など特定しない)に対しておすすめをするかどうか?の可能性を評価したものです。

実際に商品やサービスを体験したお客様に対して、「知人や友人にすすめる、すすめたい、すすめる気はない」などを選択してもらい、お客様が「推奨者」「中立者」「批判者」のどれに当てはまるかを確認します。

推奨者が多く集まるよう商品やサービスを開発・改善していくことで、リピーターを獲得しつつより効率的な新規顧客の獲得に繋がるため、多くの調査で活用されています。

CSI:顧客満足度指数

Customer Satisfaction Indexの略で、顧客満足度を測定する際の世界基準として運用されている指数で、多くのグローバル企業で取り入れられており、自社の顧客満足度の把握のみならず、他国の企業との比較などに活用されています。

顧客の期待値、不満度、忠実度、知覚品質、知覚値など相関性のある要素への質問を行い、その評価の平均値を顧客満足度スコアとして算出します。

世界標準の指標であるためローカライズされておらず、地域の特質などを考慮した指標とはなっていません。

JCSI:日本版の顧客満足度指数

上記CSIを日本向けに調整した顧客満足度指数で、経済産業省、学識研究者と複数の大手企業が共同で開発したものです。

顧客満足度、忠実度、知覚品質、知覚値、推奨意向、ロイヤリティの6つを数値化し、商品やサービスを多角的な視点で評価します。

日本国内のサービス産業30業種、400社の企業やブランドに対しての調査を定期的に実施し、結果を調査データとレポートとして有償で提供されています。

より細かく見るための5つの指標(CAST、LTV,、CES、CRR、リテンションレート)

3つの指標の何れかのみでは細かい分析までを行うことはできません。

重要な指標の何れかに加えて下記5つの指標の中から目的に合った指標を見ることで、より具体的なお客様の満足度を把握し、商品やサービスの開発・改善につなげることができます。

CAST:顧客満足度

Customer Satisfactionの略で、お客様が商品やサービス、お店に対してどれだけ満足しているか?を評価したものです。

質問に対して、「満足、やや満足、普通、やや不満、不満」と言った簡単な選択肢から回答してもらい、お客様が何に満足しているか?どこに不満を持っているか?を把握します。

すでにリピーターとなっているお客様より、初めて商品を購入したり、サービスを体験したお客様の満足度を取り、リピーター化へ繋げるヒントを得ることに活用されています。

LTV:顧客生涯価値

Life Time Valueの略で、お客様が初めて自社の商品やサービスを体験してから、離れてしまうまでに発生した売上を算出した数値です。

LTVが高い=顧客満足度やロイヤリティ、リピーター化率が高いと捉えることができ、自社に取って優良な顧客とはどういうお客様なのか?の属性を把握したり、中長期的な顧客満足度を把握する(LTVが高い=継続的に売上が発生している=顧客満足度が高い)際に活用されています。

CES:顧客の不満・努力指標

Customer Effort Scoreの略で、顧客の不満や努力指標を評価したものです。

NPSとは反対の意味を持った指標となり、お客様が自社の商品やサービスに触れた直後など商品やサービスへ慣れてしまう前に実施することで、より具体的な不満ポイントや、改善の余地のある箇所(設定方法に迷っている=設定をもっと簡単にできるようにできないか?など)の把握に活用されています。

商品やサービスの新規開発やリニューアルを前提とした場合に、ユーザーインタビューなどの形式で活用されることも多くあります。

CRR:顧客維持率

Customer Retention Rateの略で、新規のお客様がどれくらいの期間、自社の商品やサービスに対して良い印象を持っているかを測る指標です。

商品やサービスに触れた直後から、定期的な購入時などに都度アンケート調査などで調査を行うことで把握することができます。

LTVなどと同時に活用することで、LTVの高いお客様が本当に満足度が高い状態で使ってくれているのか?それとも惰性で使っており、よりよい商品が出た際にすぐ乗り換えられる可能性があるのか?などを把握することができます。

リテンションレート:顧客定着率

Retention Rateで、お客様がどのくらいの期間自社の商品やサービスを利用し続けてくれているかを計測したものです。

定着率が高い=顧客満足度が高いと捉えることができます。

定期的な売上が発生しない商品や、サービス内の特定の機能がどれだけユーザーに定着しているか?などを把握する際に活用されています。

顧客満足度(CS)調査を行う主な方法は3つ

顧客満足度(CS)調査を行う3つの方法
顧客満足度(CS)調査を行う3つの方法

顧客満足度(CS)調査を実施する際の方法は主に3つに分類されます。

  • アンケート調査
  • 対談・インタビュー・電話調査
  • モニタリング・覆面調査

ここではそれぞれの特徴を簡単に解説します。

アンケート調査

顧客満足度(CS)調査の方法の中で、最も一般的な調査方法です。

商品やサービスを体験したお客様にアンケートに回答してもらい、その結果を分析して顧客満足度を確認します。

アンケートへの回答方法は従来通りの紙でのアンケートへの回答に加え、Googleフォームなど無料のツールを使ってインターネットで回答いただくタイプや、顧客満足度(CS)調査サービスを用いてアンケートに回答いただくタイプなどがあります。

アンケート調査は、アンケートの設計・作成、実施、集計、分析と結果が出るまでに時間が掛かってしまうことがありますが、ある程度多くの意見を集めたり、定期的な収集や多角的な分析を行いやすいなどのメリットもあります。

対談・インタビュー・電話調査

お客様のより細かい心理や、意見を把握するためにおすすめなのは、対談やインタビュー、電話での調査方法です。

直接お客様と顔を合わせての調査となりますので、調査と言うよりヒアリングと言った方が近いかもしれません。

アンケート結果では把握できない深い内容を聞くこととなるため、質問のしかたやその場の雰囲気づくりなど、インタビュアーの技量に左右されてしまうことが多く注意が必要となることと、インタビューできる回数・時間が必要となるため、多くのデータを集めることには不向きです。

一方でその場の流れで予定していない質問が生まれ、想定外の情報を得られるメリットもあります。

モニタリング・覆面調査

調査員にお客様として実際に商品やサービス、お店を体験してもらい、

  • 商品やサービス、お店の清潔さ
  • スタッフのサービスの質
  • 商品そのものへの満足度

などを評価する調査方法です。

新たにサービスを体験してもらう調査員を用意する必要があるなど多くのデータを集めるにはやや弱い面があったり、スタッフとしては抜き打ちチェックのように捉えられるケースがあるなどデメリットもあります。

一方でモニター・覆面調査員がサービスを体験することを知らないスタッフの普段の接客態度やお店の状況など、本当の現場の状況を把握できるなどのメリットがあります。

覆面調査(ミステリーショッパー)と顧客満足度(CS)調査は何が違うのか?と言った声を聞くこともありますが、モニター調査、覆面調査は顧客満足度(CS)調査の手法の一つに過ぎません。

顧客満足度(CS)調査を行う上での3つの注意点

顧客満足度(CS)調査を行う際は、下記3つのポイントに注意して実施しましょう。

  • 調査を行う目的を明確に定義する
  • 指標は目的に合ったものを選択する
  • 一度に多くのことを調査しようとしない

せっかく実施した調査を無駄にしないためにも、上記3つのポイントは意識して実施しましょう。

調査を行う目的を明確に定義する

そもそも何のために顧客満足度(CS)調査を行うのか?目的は必ず事前に関係者内で擦り合わせを行いましょう。

目的がズレていると出てきた結果に対して異なる結論に至ってしまうことがあります。

指標は目的に合ったものを選択する

目的を明確にしていてもそれに沿った指標で追いかけないと、目的に合った結果の把握ができません。

見たい指標がたくさんあるのは分かりますが、目的に沿ったものを選ぶようにしましょう。

一度に多くのことを調査しようとしない

一度の調査で多くのことを調査するのはやめましょう。

たくさんのことを把握したとしても、同時に分析や改善を行うとどうしてもスピード感を失ってしまいます。

一つの課題にあたりを着けたらスピーディーに改善し次の調査を行うなど、身軽に多くの改善を行えるよう一度に調査する課題や項目は目的に合わせて絞って実施しましょう。

調査で現れたお客様の期待値の把握と不満の改善が肝心

顧客満足度(CS)調査は調査を実施することや、指標に情報を当てはめて満足することではありません。

調査結果から見えてくる

  • お客様の期待値の把握
  • お客様が実際に持っている不満点の改善

を継続的に把握し、お店や商品・サービスへの顧客満足度(CS)を上げて、リピーターやファンとなってもらうことが目的です。

現れた結果をもとに、必ず分析、改善活動を行い、より顧客満足度(CS)の高い状態を目指しましょう。

まとめ

顧客満足度を測る指標は8つあります。

その中でも重要度が高く、よく使われている指標は下記3つ。

  • NPS:他者への推奨
  • CSI:顧客満足度指数
  • JCSI:日本版の顧客満足度指数

さらに細かく見るための指標は下記5つ。

  • CAST:顧客満足度
  • LTV:顧客生涯価値
  • CES:顧客の不満・努力指標
  • CRR:顧客維持率
  • リテンションレート:顧客定着率

顧客満足度(CS)調査を行うからと言って、全ての指標を追いかける必要はありません。

調査を行う目的に合わせて必要な指標を選択し、顧客満足度を多角的に分析して、商品やサービスの開発・改善に活用しましょう。

また、調査を行う主な方法は3つです。

  • アンケート調査
  • 対談・インタビュー・電話調査
  • モニタリング・覆面調査

こちらも数を集めたいのか、より深く調べたいのか、普段の状況を見たいのかなど目的により最適な方法は異なりますので、必ず調査の目的や必要な内容を得られる方法を選択しましょう。

また、調査を行う際には下記3つのポイントに注意して行いましょう。

  • 調査を行う目的を明確に定義する
  • 指標は目的に合ったものを選択する
  • 一度に多くのことを調査しようとしない

調査をすることではなく、調査を行って把握できたお客様の期待値とのズレや、不満の改善を行い、商品やサービスのリピーター獲得、ファン獲得、新規顧客の獲得が最終ゴールのはずです。

必ず何を把握したくて調査を行うのか?をプロジェクトメンバー内で共通認識としたうえで、調査を進めるようにしましょう。