直近の人手不足の市場や人材の流動化を受け、優秀な従業員に継続して長く働いてもらうために、より従業員満足度(ES)の重要性が上がってきています。
しかし、現実には
- なぜ従業員満足度(ES)が大切かいまいち理解できていない
- 自社の従業員満足度(ES)を調査したことがない・できない
- どんな施策を行えば従業員満足度(ES)が上がるのか分からない
と言ったお悩みをお抱えの方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、従業員満足度(ES)を把握するために、アンケートで何を聞けばよいのか?その結果を分析する方法、良く改善したと聞く取り組み、取り組む際の注意点をまとめています。
従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)とは?
従業員満足度(ES:エンプロイー サティスファクション)とは、規模を問わず企業に勤める従業員が自社に対してどれだけ満足しているか?を数値で表したものです。
従業員満足度(ES)は企業内の様々な要素によって影響されますが、多くの企業で共通して見られるのが以下の6つの項目です。
- 経営関連
- 職場環境
- 上司のマネジメント
- 業務内容
- コンプライアンス
- 人事制度
業界や業種を問わず共通する要素なので、外食産業や美容院・サロン、ホテル、不動産仲介などの各種サービス業から、食料品、飲料品、アパレルなど各種メーカーなど様々な業界で従業員満足度(ES)向上の取り組みが行われています。
厚生労働省の調査でも従業員満足度(ES)を顧客満足度(CS)と同じように重視する企業は、そうでない(従業員満足度(ES)を重視しない)企業より、売上高・営業利益率が増加傾向にある割合が高いと出ており、また、従業員満足度(ES)が高い企業は人材確保の面でも入ってくる人の量・質ともに確保しやすい傾向と出ています。
今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業(平成27年度)の報告 厚生労働省
従業員の満足度がそのまま顧客満足度(CS)に繋がってしまう
従業員の満足度が低いとそれだけで、
- 従業員の離職率の向上
- 生産性の低下
- 顧客満足度(CS)の低下
に繋がります。
顧客を満足させるためには、まず従業員を満足させないといけないと言われる所以はここにあります。
顧客と対面する現場の意欲が低いとそれだけ提供するサービスの質も下がりやすく、結果的に顧客満足度(CS)の低下に繋がります。
大小問わず顧客満足度(CS)の高い企業は、従業員の満足度を高めることで従業員の意欲、生産性、定着率を向上させることで、質の高いサービスを提供し顧客満足度の向上につなげています。
従業員満足度(ES)を向上させるいいこと・メリット
企業が自社の従業員の満足度(ES)を上げることのメリットを大きく分けると下記3つとなります。
- 人材の離職率の改善と採用活動に掛かるコストの低減
- 業務意欲向上と生産性向上によるサービスの質の向上
- 顧客満足度(CS)の向上によるリピーターや顧客推奨率(NPS)向上に伴う新規集客
コストは下がり、サービスの質が上昇すると良いことばかり言っているようにも見えますが、実際従業員満足度(ES)が高いことで企業が損をしてしまうことはほぼないでしょう。
従業員満足度(ES)調査は匿名アンケートで取ろう
従業員満足度(ES)調査を実施する際には、必ず匿名性であることを担保しましょう。
Googleフォームなどの無料ツールで構いませんので、下記6つのセクションに分けてアンケートを実施してください。
- 経営関連について
→会社の方針や業務に関係する情報などが経営陣から明確に提示されているか?など経営陣の行動の状態を確認しましょう。 - 職場環境について
→達成すべき目標は明確化?必要に応じた連携ができているか?相談できるか?など職場環境についての状況を確認しましょう。 - 上司のマネジメントについて
→上司の業務の指示・指導が適切か?上司からのフィードバックは成長に繋がっているか?公平に評価してくれていると感じているか?など従業員の上司の状況を確認しましょう。 - 業務内容について
→自身の業務が社会や顧客、会社の役にたっていることを実感できるか?個人目標に納得感はあるか?自身の成長を感じているか?業務量は適切か?など、本人が業務に携わるうえで感じているであろう状況を確認しましょう。 - コンプライアンスについて
→職場は法令を守っているか?機密情報は管理されているか?管理や教育は行われているか?を確認しましょう。 - 人事制度について
→人事評価が公平に行われているか?明確な根拠があるか?異動やキャリアの相談はできているか?教育や研修は十分か?育児や介護のサポートなどは活用できているか?など、人事や福利厚生制度の運用状況について確認しましょう。
集計時に誰が書いたアンケートかが分かってしまう前提だと怖くて本音で回答しないケースが増えてしまいます。
また、何れの質問を行う場合でも「不満はありますか? YES / NO」と言った質問は行わないようにしましょう。
従業員が不満を持っている箇所を把握し改善するのではなく、制度や仕組みがあっても適切に運用できていないものを把握し改善することが大切です。
従業員満足度(ES)を分析する3つのステップ
従業員満足度(ES)調査を行った後、集計・分析を行う際は、広く傾向を分析し、属性毎の傾向を分析した上で、各要素がどう従業員満足度(ES)に影響しているか?を分析・把握するのがおすすめです。
- 全社の回答をまとめて集計しできている、できていない点を洗い出す
→会社全体としてどこに満足・不満を持っているか?傾向を把握する場合、全社の回答をまとめて単純集計を行いましょう。 - 属性別にクロス集計し、世代や役職、部署ごとでの傾向を洗い出す
→属性別(世代や性別など)毎に満足・不満のポイントに傾向があるか?を把握する場合、クロス集計を行いましょう。 - 相関関係、因果関係分析
→それぞれの要素がどれだけ従業員満足度(ES)に関係しているか?を把握する場合は相関分析、因果関係分析を行いましょう。
最初からここまできっちり分析する必要はありません。
初めての調査の場合は全体集計だけでも明らかに満足度が高くない要素が出てくることも多くあります。
まずはできるところから従業員の満足度の改善に取り組みましょう。
従業員満足度(ES)の向上が見込める6つの取り組み
実際に従業員満足度(ES)の向上に繋がりやすい施策は下記となります。
- 労働時間、ワークライフバランスの調整
- 福利厚生の充実
- 社内コミュニケーションの向上
- 人事評価基準の明確化
- 評価方法の多様化
- 企業理念や取り組みの徹底
業種や業態、業界に合った施策がありますので、同じ業界内での情報交換や、似た業態間での情報交換の上取り組みを行うのも有効でしょう。
人事評価基準の明確化などは、効果も大きいですが取り組みに掛かるコストも大きくなります。
その一方評価方法の多様化などは、給料を上げると言った分かりやすいものから、良い結果を出した従業員を社内で表彰したり、毎日の挨拶に前日の良いところを伝えるなどの簡単なことから始めることもできます。
コミュニケーションの向上と合わせて、社内で従業員同士で良いところを褒めあう文化を作るなど、業種や業態に合わせて有効な施策を検討しましょう。
これをやったら必ず従業員満足度(ES)が上がると言う施策はありません。
給料を上げたからと言って従業員満足度(ES)が上がらない場合もありますので、必ず自社の従業員が何を気にしているのか?どこに不満を持っているのか?を把握した上で、施策を検討・実施しましょう。
従業員満足度(ES)向上に取り組む際の注意点
従業員満足度(ES)調査や向上の取り組みを行う際、下記のポイントに注意して実施しましょう。
- 異論・反論などを認めない同調圧力が掛かっていないか?
- 質問項目が多く、回答するだけで疲れる事態になっていないか?
- 回答者が特定されてしまうような情報を聞いたり、実施方法(面談など)になっていないか?
- 調査の実施で終わらず、分析やそこからの行動を見据えた実施ができているか?
- 全体平均ばかりで「回答者」がいない分析結果になっていないか?
- 改善プランが経営層の押し付けになっていないか?
- 担当者が勝手にやった状態になっていないか?
- 楽で居心地が良い状態が理想ではない
従業員満足度(ES)を上げるには、
- 会社全体で取り組みが動いており、ゆっくりで良いので組織が変わっている実感
- ロジックも大事だが感情も大事
- 安心して発言できる「心理的安全性」の確保
が大切です。
どんなにいい取り組みでも安心して発言できない、意見しても意味がない、一部の人だけが得しているような状態が続いていると言った状況では、社内や組織に新しい不満が生まれてしまい全体的な満足度の向上にはつながりません。
まとめ
従業員満足度(ES:エンプロイー サティスファクション)とは、規模を問わず企業に勤める従業員が自社に対してどれだけ満足しているか?を数値で表したものです。
従業員満足度(ES)は企業内の様々な要素によって影響されますが、多くの企業で共通して見られるのが以下の6つの項目です。
- 経営関連
- 職場環境
- 上司のマネジメント
- 業務内容
- コンプライアンス
- 人事制度
業界や業種を問わず共通する要素なので、様々な業界で従業員満足度(ES)向上の取り組みが行われています。
従業員の満足度が低いと、
- 従業員の離職率の向上
- 生産性の低下
- 顧客満足度(CS)の低下
に繋がることになり、顧客を満足させるためには、まず従業員を満足させないといけないと言われる所以はここにあります。
大小問わず顧客満足度(CS)の高い企業は、従業員の満足度(ES)を高めることで質の高いサービスを提供し、顧客満足度(CS)の向上につなげています。
自社の従業員の満足度(ES)を上げることのメリットを大きく分けると下記3つとなります。
- 人材の離職率の改善と採用活動に掛かるコストの低減
- 業務意欲向上と生産性向上によるサービスの質の向上
- 顧客満足度(CS)の向上によるリピーターや顧客推奨率(NPS)向上に伴う新規集客
従業員満足度(ES)を調査する際は、Googleフォームなどの無料ツールで構いませんので、上でも書いた6つの要素をそれぞれアンケートで聞くのがおすすめです。
- 経営関連
- 職場環境
- 上司のマネジメント
- 業務内容
- コンプライアンス
- 人事制度
集計時に誰が書いたアンケートかが分かってしまう前提だと怖くて本音で回答しないケースが増えてしまいますので、実施する際には、必ず匿名性であることを担保しましょう。
従業員満足度(ES)を調査した後は、全体集計→属性毎のクロス集計→相関関係分析や因果関係分析の順に細かい粒度まで分析を行いましょう。
ただし、初めての調査の場合など、全体集計だけで明らかな傾向値が見えた場合にはさらに深堀をせずとも、従業員の満足度に繋がる改善ポイントが見つかることもあります。
実際に従業員満足度(ES)の向上に繋がりやすい施策は下記となります。
- 労働時間、ワークライフバランスの調整
- 福利厚生の充実
- 社内コミュニケーションの向上
- 人事評価基準の明確化
- 評価方法の多様化
- 企業理念や取り組みの徹底
業種や業態、業界に合った施策がありますので、同じ業界内での情報交換や、似た業態間での情報交換の上取り組みを行うのも有効でしょう。
できるだけコストを掛けずに改善できるものから取り組み、少しづつでも会社が変わってきているという実感を従業員に与えることが大切です。
従業員満足度(ES)の調査・分析・改善は、
- 異論・反論などを認めない同調圧力が掛かっていないか?
- 質問項目が多く、回答するだけで疲れる事態になっていないか?
- 回答者が特定されてしまうような情報を聞いたり、実施方法(面談など)になっていないか?
- 調査の実施で終わらず、分析やそこからの行動を見据えた実施ができているか?
- 全体平均ばかりで「回答者」がいない分析結果になっていないか?
- 改善プランが経営層の押し付けになっていないか?
- 担当者が勝手にやった状態になっていないか?
- 楽で居心地が良い状態が理想ではない
に注意して取り組みましょう。
どんなにいい取り組みでも安心して発言できない、意見しても意味がない、一部の人だけが得しているような状態が続いていると言った状況では、社内や組織に新しい不満が生まれてしまい全体的な満足度の向上に繋がらず、かえって不満が生まれることにも繋がります。
優秀な従業員に長く継続して働いてもらうことが、サービスの質の向上、会社の売上へと繋がっていきます。
長期的な企業の発展のためにも、できるところから従業員満足度(ES)の向上に取り組みましょう。