こんにちは。
消費者のニーズは細分化され、対処するための商品は大量に作られては消えていく昨今、商品開発の重要性はますます高まっています。
しかし、もともと商品開発に携わってきた方は多くなく、新しく商品を作りたいけどそもそもどう進めればいいか分からなかったり、作りっぱなしで放置してしまっており、売れた・売れなかった理由も良く分からないと言った話を多く聞きます。
そこで、本記事では、商品開発の進め方と失敗しないためのポイントをまとめています。
商品開発とは何なのか?商品企画との違いは?小規模でもどこまでやればいい?など悩んでいる方はぜひ本記事を読んで、商品開発を進めていただければ幸いです。
商品開発とは対価を払って購入される商品を開発すること
商品開発とは、自分が欲しいものを適当に作ることではありません。
商品開発とは、人がお金を出して購入して(求めて)くれる商品を開発することです。
有形、無形、ジャンル(飲食店、美容室、メーカーなど)問わず、人が対価を払ってでも使いたい!と思う価値を創ることを指します。
商品開発とは、商品を企画→生産→販売するまでの流れ全体を指しており、一部のプロセスのみを表す言葉ではありません。
商品開発は3つのパターンと2種類のターゲットの組み合わせ
商品開発と一言でまとめても、実際には3つのパターンがあります。
- 既存の事業における後継となる商品や派生商品を開発する
- 既存の事業における新しいカテゴリーとなる商品を開発する
- 新規の事業として新しい商品を開発する
スニーカーのメーカーを例に考えてみましょう。
- 既存の事業における後継となる商品や派生商品を開発する
→売れ筋のスニーカーのカラーバリエーションや機能向上版、有名スポーツ選手とのコラボレーションモデルなどを開発すること
- 既存の事業における新しいカテゴリーとなる商品を開発する
→靴と言うカテゴリー内でスニーカーだけでなく、サンダルやビジネスシューズなど様々な子カテゴリーの商品を開発すること
- 新規の事業として新しい商品を開発する
→スニーカーだけでなく、シャツ、パンツ、靴下など運動時のアパレル全般を提供すること
また、ターゲットは大きくは2つに分けられます。
- BtoB(対企業向け製品)商材
- BtoC(一般消費者向け)商材
それぞれの組み合わせ(既存の事業の後継商品×BtoB商材など)により、商品に求められる機能や価格、販売戦略が変わります。
新しい商品を開発する場合には、必ず自社内における位置づけとターゲットを明確にし、誰の何を解決する商品なのか?がブレないように進めましょう。
企業が商品を開発するのは、新たな収益の確保や市場拡大を狙うため
商品開発を行う目的の中で一番多いものが「新しい収益源を作るため」ではないでしょうか。
商品やサービスが1つしかない状態が続くと、
- プロダクトライフサイクルが限界を迎えて売れなくなった
- 消費者のニーズが変わり、既存の商品ではフォローしきれなくなった
- より低価格な代替商品が出回っており、選ばれなくなってしまった
- 使用している技術や素材が古く、時代遅れの商品として認識されてしまう
など様々な理由により最初は売れていた商品が「売れない」状態へ変わっていきます。
最近はん技術やノウハウの共通化が早い速度で進んでおり、新商品を開発する際のコストを抑えることができる一方、差別化が難しくプロダクトライフサイクルは短い傾向にあります。
老舗のすき焼き店が販売しているすき焼き弁当など他社がマネできない価値を持っている企業でもない限り商品が1つだけではより資本がある企業にすぐにマネされてしまい倒産のリスクにさらされてしまうわけです。
だからこそ多くの企業が
- 市場から継続して求められるために、新商品を定期的に投下する
- リスク分散・市場拡大のために既存の事業とは関係ないカテゴリーの新商品を開発する
を行い、常に変化することで新しい収益源を生み出しているのです。
一般的に商品開発はまずは市場調査から
商品開発が大切なことはわかった。
で、どのように取り組めばよいのか?
一般的な手順は下記の通りとなります。
- 市場調査・マーケティングリサーチ
- 商品コンセプト開発
- 商品企画・設計・テストマーケティング
- 販売戦略設計・市場への投下
- 計測・改善
一つずつ見てみましょう。
市場調査・マーケティングリサーチ
商品開発を行う際には、必ず市場調査やマーケティングリサーチを行いましょう。
まずは市場調査を実施し、分析したデータや過去の数字から対象の市場に参入すべきか?参入するならポジションなどを検討します。
ポジションなどを決めた後マーケティングリサーチを実施し、商品を使っているユーザーや販売者が抱える今の商品への不満やニーズを把握、自社商品の方向性を検討する際の素材とします。
最初から全国や世界規模の商品を開発したり、大きな売上目標がすでについている商品でない限り、あまり難しく考えすぎる必要はなく、また大きなコストを掛ける必要もありません。
市場調査は、
- 作ろうと思っている市場でどのくらいお金が動いているのか?
- ターゲットとなる企業や個人はどれくらいいるのか?
- 競合他社はどれくらいいるの?商品の機能や成分は?価格はいくら?
などの情報を集め、マーケティングリサーチでは、
- 消費者視点で、商品を選んだ理由や、魅力的な訴求ポイント
- 販売者視点で、商品を扱いやすい、売りやすいポイント
を集め、今、本当に売れている商品の傾向を見つけましょう。
これらの要素を把握した上で新商品を開発するかどうかで、販売後の成功率は大きく変わります。
- 売れる商品は作れたけど、市場規模が小さすぎて赤字になる
- 売れる商品は作れたけど、どうして売れてるのか分からず展開や再現の判断ができない
- 勘で商品を作ったけど、全く売れずに大赤字
このような事態を招かないためにも、市場調査とマーケ手ティングリサーチは、簡潔にでもよいので必ず実施しましょう。
消費者視点でのマーケティングリサーチ
消費者視点でマーケティングリサーチを行う場合、自分で行う場合においても、他人や他社に依頼する場合においても、下記を意識して調査を行いましょう。
- どこで消費者は買うのか?
- 誰が使う商品なのか?
- 購入者はどんな人?
- どんなシーンで使う商品なのか?
- なんのためにその商品を使うのか?
- どのようにその商品を使うのか?
- 価格と品質のバランスはどの程度か?
- 必要な機能や、消費者が選択する理由は何なのか?
- 開発に必要な材料や人材は何なのか?
これらの情報が明確になっていない状況で商品企画すると、後から矛盾や課題が生じてしまい、最悪撤退や大きな開発の遅れ、コストの増大などに繋がることがあります。
販売者視点でのマーケティングリサーチ
販売者視点でマーケティングリサーチを行う場合は、下記の項目を参考にしてください。
- 売りやすい商品価格は?利益は出る?回転率は?
- どの売り場(インターネット、現実のお店問わず)が売りやすいか?
- 売り場で目立つ、ブランドを棄損しない見た目とは?
- 主要な販促手段は何か?
- 機能や選択理由へのこだわりの強さ
- 販売者が売りやすい「競合商品との差別化要素」は何か?
商品ができたけど自社以外誰も取り扱ってくれない商品になってしまっては、販売網を広げることができません。
とりあえず自社ECサイトや営業マン、ECモール上のみで勝負しても構いませんが、商品の認知コストが大きくなったり、初動の販売数は小さくなってしまいがちです。
BtoB、BtoC限らず、パートナーが「売りやすい」商品を設計することが大切です。
商品コンセプト開発
市場調査とマーケティングリサーチが終わったら、次に商品コンセプトを開発します。
商品コンセプトを開発する目的は、
- だれの
- 何を
- どのように
解決する商品なのかを具体化・言語化すること。
マーケティングリサーチで収集した今売れている商品の情報を元に、
- こんな人たちならターゲットになるのではないか?
- こういう商品があれば便利だよね!
- 今の商品に●●が不満だと思っている人がいる
などを洗い出し、新しく開発しようとしている商品の、
- 誰が使う商品なのか?
- 購入者はどんな人?
- どんなシーンで使う商品なのか?
- なんのためにその商品を使うのか?
- どのようにその商品を使うのか?
をまとめていきます。
洗い出す際は出てきたアイデアに対して「いや、それはないでしょう!」などチームメンバーの意見はもちろん自身の意見も否定するのではなく、一旦すべての情報を出すようにしましょう。
商品企画・設計・テストマーケティング
商品企画・設計の段階まで来たら、
- 売価原価設定
- パッケージや販促のデザイン
- 使用する材料や必要な人材
- 製造・構築方法
など、商品の「形」を具体的に詰めていきます。
設計の際、もっとも重要なのはいくらで作っていくらで売るのか?になります。
企業活動としては利益を出すことが前提であるものの、利益効率を上げ過ぎて市場に受け入れられない価格となり、売れないでは元も子もありません。
競合商品などを参考に販売価格、製造原価、品質のバランスが取れた状態を目指しましょう。
ある程度商品の「形」が明確になったらサンプルを作ってテストマーケティングを行います。
テストマーケティングでは、
- 想定しているターゲットに商品が受け入れられるのか?
- 想定している不満やニーズに対応できているか?
- パッケージにマイナスなイメージを与える言葉や要素がないか?
など、販売後に全然売れなかった!や販売直後になんでこんな表現になってしまったの?など、開発を進めるうちにズレてしまった要素がないか?を確認します。
この段階で多くのユーザーに使ってもらえるのが理想ではありますが、1人でも良いので必ず「想定しているユーザーとなる人・もしくは近い人」に使ってもらうようにしましょう。
販売戦略設計・市場への投下
販売戦略の設定は
- どのような販売チャネルで売るか
- 具体的な販路開拓手法はどうするか
- 商品プロモーションはどうするか
等を検討するプロセスです。
業種を問わず販売チャネルは細分化が進んでいます。
小売りだけでもスーパー、コンビニ、ドラッグストア、専門店、無人販売店、ECサイト、百貨店などがあります。
さらに飲食店や美容室での店販品やそれぞれが新たに小売りとして出店するケースも出てきている今、販売チャネルとプロモーション設定が実売の結果に大きく影響しますので、できるだけ具体的に設計しましょう。
また、Z世代をターゲットとした商品を、新聞広告+電話での注文受付でやってみたけど全然売れなかったなど、そもそもターゲットとなる方が使っていないチャネルを使っても結果は出ません。
事前の市場・マーケティング調査の結果を基に、ターゲットとしている消費者が実際に使っているチャネルを選択しましょう。
実施、計測、改善
商品は作りっぱなしで終わりにはなりません。
売れた場合も売れなかった場合でも必ず結果の分析~改善活動を行い、今の市場が求めているものに商品自体の価値を高めましょう。
- 売れている・売れていない理由の確認
- 商品のどこに課題があるのか?何を解決するとより消費者にフィットするのか?
- 改善実施
- 市場に出す
上記をサイクルで回して、消費者に解決手段として選択されるようフィットさせていくことを最近ではプロダクトマーケットフィット(PMF)と呼ばれています。
改めて商品とは何か?
商品開発手法は様々なやり方がり、正解はありません。
- オーナーがお客様のニーズを引き出し、まとめてくれるため成功率も高い
- うちは販売価格と原価を決め、予算の制限を掛けて商品開発をしている
などなど、貴社に合った方法や順序があるかと思います。
しかし、避けたほうが良い方法と言うものが存在します。
- 設備や人材が余っているから、とりあえず作りたいものを作ろう
- 材料を安く仕入れることができたから、これで作れるものを作ろう
- 自社の強みはこれだから、その拘りは譲れない
など、自社都合を優先した商品開発を行うと、大きな失敗時にメンバーがやる気や自信を失ったり、販売に協力いただいたパートナーから不評を買うと言った事態に繋がりかねません。
そのような大きな失敗に繋がる可能性を少しでも減らすため、市場のニーズを知ったうえで新商品開発を行い、上手く行った場合でも失敗した場合でも必ず原因の確認ができる新商品開発を行いましょう。